開幕直前――ワールドカップを支えるコマンドセンターも「臨戦態勢」

6月9日から「2006 FIFAワールドカップ ドイツ大会」が始まる。その円滑な運営を支えるITコマンドセンターが公開された。

» 2006年06月09日 15時42分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「ピッチで繰り広げられる熱狂の陰では、それをスムーズに運営させるために多くの人がITインフラのオペレーションに携わっている」(FIFAのCIO、マイク・ケリー氏)――。

 6月9日、いよいよ「2006 FIFAワールドカップ ドイツ大会」が開幕する。その運営をさまざまな側面から支えているのが、ミュンヘンに開設された「ITコマンドセンター」(ITC)だ。

 ITCには、ドイツ全土に散らばる12カ所のスタジアムを結び、FIFAの大会運営を支えるコアのネットワークインフラ機器が設置されている。また、ネットワークのパフォーマンスや障害、セキュリティ状況を監視するスタッフが常時詰め、監視ツールとにらめっこで円滑な運営に努めている。

ITC ITCでは大会を支えるネットワークインフラの状況がリアルタイムにモニタリングされる

 ワールドカップの運営は、ITとは無縁ではいられない。IDカードの発行をはじめとする大会運営用のWebアプリケーションや試合関連情報の配信にはじまり、関係者やメディアのインターネット接続やVoIP/IMを組み合わせたコミュニケーション手段の提供など、さまざまな局面でITとネットワークが活用されている。これらネットワークインフラの構築は、FIFAのパートナーであるAvayaとドイツテレコムが協力して行った。

ITCの機器 意外と数の少なさに驚かされるネットワーク機器群。コア/エッジスイッチのほか、IP-PBXやゲートウェイなどが収容されている

 ワールドカップならではのシステム構築、運用の難しさについて、米AvayaのFIFA担当ITディレクター、ダグ・ガードナー氏は「まず要求仕様が固まらず、頻繁に変わること」だとコメントした。さらに、短期間のうちに構築し、大会日程の進行にともないせっかく作ったインフラを迅速に撤去しなければならないという特殊な事情もある。

 FIFAとAvayaでは、事前に負荷テストや冗長性確認など入念に試験を行い、「あらゆる種類のシチュエーションに対応できるようにした」(ケリー氏)という。

 これからの約1カ月間、その真価が問われることになる。

 もっとも、ITCの担当者はテストの結果に自信を持っているようだ。「前回の日韓ワールドカップでもコンフェデレーションズカップでもそうだったが、大会のインフラに対するDoS攻撃があった。たぶん今回も明日(6月9日)の朝にはやってくるのではないか」とさりげなくコメント。IDPや監視ツールなどを駆使して、こうした脅威にも対処していくという。

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