本格需要はまだこれから、日本版SOX法対応うたうストレージベンダーたち

6月28日、東京ビッグサイトで「データストレージEXPO」が開催された。日本版SOX法の施行をにらんで、内部統制をうったえるストレージ関連ベンダーが多い。

» 2006年06月28日 20時36分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 「今後施行予定の日本版SOX法では、データの保全が重要になります」――6月28日、東京ビッグサイトで「データストレージEXPO」が開催された。日本版SOX法の施行をにらんで、内部統制をうったえるストレージ関連ベンダーが多い。だが、日本版SOX法への対応に向けて多くの企業は、まだビジネスプロセスの整備段階という状況で、具体的なITインフラの統制への投資はまだこれから。「内部統制やコンプライアンスをテーマにすれば、多くの顧客が集まってくれるが、商談に結び付くものはまだほとんどない」との声も聞かれた。

データストレージEXPO データストレージEXPO

 日本版SOX法(金融商品取引法)は、財務報告の適正性を確保するため上場企業に対して内部統制の構築を義務付ける法律。まだ具体的なガイドラインは示されていないが、米SOX法が基になっていることから、データの保管と正確性の保障が強く求められることになるとされる。これら課題は企業のITにとって新しいものとはいえないが、しっかりと行えている企業はまだ少ない。今後は法的な強制力を持って、これらへの対応が必要になってくると予想される。

 内部統制に欠かせないものになる、と電子メールアーカイビングシステムを紹介していた日商エレクトロニクスのブースでは、「Symantec Enterprise Vault」と組み合わせたメールシステムを展示。「ライブドア事件があってから電子メールのアーカイビングに興味を持つ企業が増えてきている」という。

 電子メールアーカイビングシステムでは、訴訟対応や監査を目的としているため、WORMと呼ばれる追記型の改ざん防止を施してデータを保管でき、保管した全社員のメールにさまざまな属性付与し、高速にメールや添付ファイルを検索、取り出す機能を備えているのが特徴だ。

 日立ビジネスソリューションもメールアーカイビングをアピールしていた。日本版SOX法対応とコンプライアンスソリューションをうたうが、アーカイビング用ストレージに保管場所を移すことで、メールサーバのパフォーマンス低下や使用するメールボックスの容量不足を解消できるメリットも大きいと話す。

 また、コンプライアンスという点では、見積書などといったコンテンツなども完全性を保ったまま保管する必要もある。フロンテックのブースでは、フィックスコンテンツを対象にCASやアクセスログ取得、リテンション管理、WORM機能などコンプライアンスのために必要とされるさまざまな機能を搭載したSOX法対応アプライアンス「Assureon」を展示していた。

 IT統制を掲げていたあるストレージベンダーのブースの説明員は「日本版SOX法はまだ詳細な実施基準が決まっていない。顧客はこんな方法もあるのか、と情報収集しているだけのようだ。商談に結び付くものは少ない。だが、半年、1年たてば状況は大分変わってくるだろう」と話した。

 日本版SOX法によるストレージソリューション需要はまだこれからだ。

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