MSのヒューストン氏、技術者支援を柱に日本向け施策のさらなる強化を発表

マイクロソフトは7月13日、2007年度の経営方針について記者説明会を開催。社長のダレン・ヒューストン氏は、Plan-Jの順調な進展ぶりをアピールした。

» 2006年07月13日 17時31分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 マイクロソフトは7月13日、7月から始まった2007年度の経営方針について記者説明会を開催した。同社代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏は、昨年からの施策であるPlan-Jの順調な進展ぶりを示した。

 2006年はマイクロソフト日本法人にとって、設立20周年の節目となる年。米国に次ぐ第2の市場となった日本で大きな成功を収めることが、社長就任2年目のヒューストン氏には求められている。

「Plan-Jは正しく機能しており、順調に進展している」とヒューストン氏

 そのヒューストン氏による日本市場向け施策Plan-Jは、投資拡大と技術革新、そしてパートナーシップの3つを柱とする。この施策がうまく機能しているかどうかの指標は、「パートナーがビジネスモデルを成功裡に構築できているか」にあるとヒューストン氏は言う。

 OBCやTKC、日立、富士通、東芝、NEC、シャープといった国内パートナーの名前を挙げ、それらすべてのビジネスが好調であることをアピールするとともに、こうしたビジネスの顧客およびパートナーの満足度向上について「世界的に見て日本が、この一年で最も大きく満足度に関する数値の向上が見られた」として順調さを強調した。

 SQL Server 2005やVisual Studio 2005などの革新的なアプリケーションのリリースも果たし、順風満帆に見えるPlan-Jだが、そこには課題もあるとヒューストン氏。それは次の3点に集約される。

  1. デジタルインクルージョン(デジタルデバイドの解消)をどう進めるか
  2. ITプロフェッショナルの地位向上
  3. デベロッパーの不足

 この3つの課題に挑戦していくことが、今後のPlan-Jの大きな活動の柱になっていくという。これについてヒューストン氏は具体的なビジネスプライオリティを設定、それぞれについてより深く取り組んでいくことを明らかにした。

 ビジネスプライオリティは次の7つ。すでに活動が行われているものから新たな分野への製品の投入まで、その幅は広い。

  • People Readyビジネスの展開

 「People Ready」とは、サーバを核とするコラボレーション環境により、適切なソフトウェアを手にした人々の力で生産性を向上しビジネスを推していくという考え方。これを実現するのプラットフォームの整備に、同社の製品群の利用を勧めていく。

  • 次世代デスクトップ製品の提供

 2006年末〜2007年にかけてのWindows Vistaのリリースを確実に推し進めていく。

  • レガシーシステムからの移行支援

 政府機関や特にミッションクリティカル分野において、パートナーとともに最大限の努力をしていく。

  • 開発者とITプロフェッショナルの満足度向上

 若い世代にもアピールし、どんなスキルアップの道があるのかも示していく。

  • Microsoft Dynamics製品の投入

 CRMやERPといった新分野の製品を投入し、市場の受け入れを狙う。

  • “Live”プラットフォームの推進

 Windows Live、Office Liveなどの利用を促進していく。

  • 企業市民活動の拡大

 NPOや学術分野、政府などへ積極的な働きかけを行っていく。

 このうちマイクロソフトが特に力を入れるのが、開発者とITプロフェッショナルの満足度向上だ。「Microsoft On−出張ワークショップ 最新技術を学ぶ」と呼ばれる、国内独自の施策を打ち出す。

 この施策は、同社の最新技術の詳しい知識を持つ10名のエバンジェリストが無償でユーザーのもとに出張し、ワークショップ形式で情報を提供するというもの。対象はパートナー企業やWindows技術に興味を持つユーザーコミュニティの支援団体で、多忙な技術者に対して1コンテンツ2時間程度のメニューで効率よく最新情報の取得やスキルアップができるように構成される。

 Microsoft Onは年間で1000回の実施を目標に、特別一般公募なども実施しながら進めていくという。

 Plan-Jも二年目にきて、より具体的かつ詳細な注力ポイントが示されるようになった。メッセージとして理解してもらいやすいことも、市場へのアピールには重要なことだろう。

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