OpenSolarisでIBM、DELL、HPがSunのチャネルパートナーにOracle OpenWorld San Francisco 2006 Report(1/2 ページ)

「Oracle OpenWorld San Francisco 2006」は3日を迎え、スポンサーキーノートにSun Microsystemsのジョナサン・シュワルツ社長兼CEOが登場した。

» 2006年10月26日 18時05分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 米国時間の10月25日、「Oracle OpenWorld San Francisco 2006」は3日を迎え、スポンサーキーノートにSun Microsystemsのジョナサン・シュワルツ社長兼CEOが登場した。毒舌でならした前CEOのスコット・マクニーリー会長は、競合他社をバッサバッサと切り捨て、会場は大いに盛り上がるのが常だったが、CEO就任から184日目のシュワルツ氏のスピーチは、実にスマートかつ穏やかに始まった。

Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツ社長兼CEO

技術者とのかかわり

 シュワルツ氏は、まず最初にITの市場がどうなっているのか、その中でSunのビジョンはどの方向に向いているのかといったことから解説を始めた。元々の同社のスローガンは「The Network is The Computer」というもので、CEOが交代したからといってこのスローガンには変更はない。世界中で年間300万ものユーザーが新たにインターネットに接続をするという状況にあり、RFIDなどのセンサーを使った新しいアクセスの形態も生まれている。人間以外のあらゆるものにセンサーが搭載されるようになり、そのセンサーがネットワークに接続するのだ。

 従来は、これらセンサーの情報はリードオンリーのもので状況を読み出すことしかできなかったが、今後は書き込みもできるようになり、これらの接続の環境ももっとアクティブなものになるだろうという。Sunでは、これを「シチズンメディア」と呼んでいる。さまざまな端末から、能動的にネットワークの世界に参加できるようになるのだ。これは大きなインターネットの革命だとSunは考えている。

 この革命的な状況の中で、この世界へのSunの1つのかかわり方として、開発者のコミュニティーに積極的に投資を行っている。

 「しかしながら、開発者のコミュニティーはコンピュータの市場ではない。ここでは、ものを買ってくれるわけではない。そこで、Sunはここにエコシステムを作った。消費者を巻き込んで、インターネットのサービス使ってくれるようにする。そうすると、企業のインターネット技術で競争をしようという動きにつながる」(シュワルツ氏)

 これは、単に製品を無償で提供すればいい、というわけではないという。すべての顧客が平等な立場にあるわけではない。どちらかだけが大切ということではなく、技術に対しお金を払う人もそうでない人もいると考えている。

 そんな中、Sunのソフトウェアの方向性の1つがJavaのプラットホームであり、30日から60日のあいだに、新しいバージョンのJavaプラットホームを発表し、その際には従来のライセンスモデルを変更するという。コンポーネントごとに価格を決めるのではなく、単純に社員数で決まるような一目瞭然な分かりやすい体系にしていく。

 もう1つのソフトウェアであるSolarisについては、オープンソース化して600万のライセンスが現在利用されているとのことだ。実はこのうちの70%は、IBM、Dell、HPのハードウェアで利用されている。つまり、このハードウェアのビジネスという側面では、完全なライバルとなっている3社が、OSであるSolarisから見ると拡大のためのチャネルパートナーとなっているのだ。OSがどのハードウェアでも動くように考えているUNIX OSはほかにはない。顧客に選択を与えるのだ、というのはOracleの一連の戦略とも一致する。さらに、提供しているUltraSPARCあるいはAMDのサーバについても、SolarisとLinuxという選択肢を顧客に与えているという。

 「UNIXを使いたければ、このハードウェアしか使えないという、他社のようなベンダーロックインは行わない」とシュワルツ氏は誇らしげに話す。

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