「いつでもどこでもちゃんとアクセス」を目指すシトリックス

シトリックス・システムズ・ジャパンが年次カンファレンス「Citrix iForum 2006 Japan」を東京都内にて開催。同社のビジョンを改めて示した。

» 2006年11月09日 14時08分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 シトリックス・システムズ・ジャパンは11月9日、年次カンファレンス「Citrix iForum 2006 Japan」を東京都内にて開催し、「アプリケーションデリバリーインフラストラクチャの実現」という同社のビジョンを改めて強調した。

 かつてはサーバベースコンピューティング製品で知られた同社だが、この1〜2年のうちに、SSL VPNアプライアンスの「Citrix Access Gateway」やアプリケーションファイアウォール、WAN高速化を実現する「WanScaler」といったネットワークセキュリティ関連製品を相次いでポートフォリオに追加。さらに、アプリケーションパフォーマンス管理製品の「EdgeSight」も傘下に収めている

 米Citrix SystemsのCEO兼社長を務めるマーク・テンプルトン氏はキーノートの中で一連の製品群を通じて目指すビジョンとは、「どこにいても、誰でも、場所や接続の複雑さに制約を受けないでアプリケーションにアクセスできるようにすること」であり、それを支える手段がアプリケーションデリバリーインフラだとした。

米Citrix SystemsのCEO兼社長、マーク・テンプルトン氏

 テンプルトン氏は、アプリケーションデリバリインフラを実現するには、デリバリー、セキュリティ、さらに可視化という3つの要素が必要だと述べた。同社では、仮想的にアプリケーションを配信する「Citrix Presentation Server」をはじめとする製品群を強化し、そうしたニーズに応えていく。

 キーノートではその一例として、Citrix Presentation Serverで強化が進められている3Dグラフィック描画機能を活用し、複数の地域にまたがりCAD設計作業のコラボレーションを進めているBoeingの例が紹介された。同社では、新型機「Boeing 787 Dreamliner」の開発作業を数十カ国にまたがるパートナーと結成した「仮想チーム」で進めており、その情報共有にCitrix Presentation Serverが活用されているという。

 テンプルトン氏は、特に近年、グローバル化や災害、テロなどによる分断の危機などにさらされ、世界は激動している(ダイナミックワールド)と指摘。どんな風に働くかも含め、あらゆる事柄を主導権を持ってコントロールしようと考える「エコー世代」の台頭もその要素の1つだという。

 こうした状況の中で、企業がダイナミックな世界に適合し、チャンスをつかんで成長していくためには、アプリケーションを配信するインフラが柔軟性を備える必要があると述べた。

 「残念ながら、ITベンダーの多くは『発電所』に当たるデータセンターやアプリケーションの部分に注力しており、『送電線』であるデリバリーネットワークには目がいっていない。大きなチャンスもあるがリスクも抱えるダイナミックワールドに対応していくには、デリバリーネットワークに注目し、準備を整えるべき」(テンプルトン氏)

 シトリックス・システムズ・ジャパンの代表取締役社長、大古俊輔氏も「アプリケーションデリバリーとは、必要な人に、どこにいても、ちゃんと使えるようにアプリケーションをお届けするということ」と述べ、この予測不能な世界において、正しい意志決定と迅速な実行を支える柔軟なITインフラを提供していきたいと述べた。

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