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» 2006年11月28日 11時30分 公開

.NET Frameworkの基本仕様「CLI」、そのJIS化への取り組みを追う (1/2)

CLIは、マイクロソフトによる.NET Framework上のプログラム動作環境を定めた仕様であり、国際標準として認められている。11月20日、CLIは日本工業規格(JIS) X3016としても公示された。ここではその意義を探る。

[大河原克行,ITmedia]

 .NET Frameworkの基本仕様を国際標準とした共通言語基盤「Common Language Infrastructure(CLI)」が、11月20日、日本工業規格(JIS) X3016として公示された。これにより、日本における標準規格として、また日本語に翻訳された標準規格として、企業がCLIを広く活用できる場が広がることになる。

国際標準化されているCLI

 CLIは、マイクロソフトなどが進めている.NET Frameworkの基本仕様であり、セキュリティに優れた堅牢なアプリケーションの開発、展開および動作をさせるための言語基盤アーキテクチャとアセンブラの仕様。C#言語のみならず、C++言語、FORTRAN言語、COBOL言語、Visual BASICなどの各種プログラミング言語をサポートする環境を提供する。

 2000年9月に設置されたECMA技術委員会39タスクグループ3(TC39 TG3)において、CLIの標準化について検討を開始。2001年12月には、ECMA標準ECMA-335として採択され、その後、2003年4月には、ISO/IEC 23271標準として国際規格で発行された経緯がある。

 日本におけるJIS化に関しては、2004年4月から、C#のJIS化に取り組んできた専門委員会のメンバーを中心に、CLIのJIS化作業に着手。2005年3月に作業が完了し、このほど、JIS規格として公示された。

 JIS化において中心的役割を担ったのが、JIS原案作成委員会委員長を務めた、CSKホールディングス CSKフェローの黒川利明氏だ。

 同氏は、1987年にLISPやPrologの国際標準化作業へ参加したのを皮切りに、その後、Java ScriptのJIS化などにも参加。言語関連仕様の標準化における第一人者と位置づけられる人物だ。

JIS原案作成委員会委員長を務めた、CSKホールディングス CSKフェローの黒川利明氏。手にしているのは890ページに上るCLIの英文規格原案

 黒川氏は、「これまでにも、FORTRANやCOBOLのような特定の言語の標準化や、POSIXの一部のAPI、Linuxに関する標準化はあったものの、今回のJIS X3016のように、複数言語の実行環境に対応したシステム基盤として、またそれがコンピュータ上でも、組み込み環境でも動作する環境としての標準化は初めてのこととなる。CLIのJIS化によって、日本におけるCLIの普及に大きな役割を果たすとともに、組み込み機器などの開発が多い日本の産業界にも大きく貢献すると考えている」と語る。

 日本においては、COBOLの利用環境が広く浸透しており、富士通やNEC、日立製作所といった国産メインフレーマーが、COBOLをCLI上に実装する動きが出ている。また、携帯電話やカーナビゲーションシステムなど、組み込み型OSの活用が多いという日本ならではの環境もあり、ここでも、CLIへの実装という点でJIS化は大きな役割を果たすことになりそうだ。

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