SOAだけでは弱い? 日本HPと日本オラクルがSOA導入支援で協業

日本HPと日本オラクルは11月28日、SOA導入支援コンサルティング分野で協業することを明らかにした。SOAだけでは、データ統合やデータの「見える化」という点では弱いと両社は指摘する。

» 2006年11月28日 13時41分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカードと日本オラクルは11月28日、SOA導入支援コンサルティング分野で協業することを明らかにした。両社はグローバルで10万社以上の共通の顧客を抱えており、Oracleデータベースユーザーの45%がHP-UXを採用しているという。

 今回の協業では、HPが提供してきたSOA実現のノウハウと、Oracleの「Data Oriented Approach:データ中心アプローチ」を活用したSOA実現の手法、および「Oracle Data Hubs」のノウハウを共有し、DOAによって構築されたシステムのSOA化を支援する。

 SOAだけでは、データ統合やデータの「見える化」という点では弱く、両社はDOAとSOAを組み合わせることが、変化に強いシステム基盤を実現する上で重要だと考える。両社の強みを生かし、DOAの手法を踏まえつつ、データ統合とプロセス統合を図ってSOAへ移行するためのノウハウや方法論を確立・共有・展開するのが狙い。

 「すでに共通顧客のSOA化支援で協業を推進している。日本HPのコンサルタントを対象としてOracle Fusion Middlewareのトレーニングを展開し、200人以上の技術者を育成したい」と話すのは、日本オラクルでFusion Middlewareを統括する清水照久シニアディレクター。

 日本HPコンサルティング・インテグレーション統括本部でソリューション戦略本部長を務める酒井孝雄氏も、「昨年10月に開設したSOAコンピテンシーセンターでは、すでに3桁の顧客にデモを行ったり、サービスを提供しており、その中で顕在化してきた課題を解決していく一つの手段が今回の協業だ」と話す。

 日本HPはこの11月1日、7つのSOAシステム構築サービス「HP SOA 7 Services」の提供をリードする「サービス指向コンサルティンググループ」を編成した。現在、同グループは約20名のコンサルタントから構成されている。

 HP SOA 7 Servicesは、ビジョン策定、基本計画策定、基本設計、サービス定義、共通基盤設計・実装、ソフトウェア開発、および運用設計管理という7つのサービスからなる。「ビジネスプロセス」からSOAにアプローチするだけでなく、「アプリケーション開発」「インフラストラクチャー」「運用」という幾つかの入り口が用意され、どこからでもSOA実現に取り組むことができるのが特徴だという。

 ただ、「SOA導入の要は、ビジネスとITの連携ビジョン策定だ。こうしたビジョン策定のないSOAは、再びサイロ化につながってしまう」と酒井氏。サービス指向コンサルティンググループは、計画フェーズにおいて、ビジネス戦略の共有からビジネス課題の共有、ビジネスとITの整合からアーキテクチャーガイドラインの策定などを支援し、こうした課題を解決していく。

 今回の協業では、日本オラクルのSOAコンサルタントチームと同グループの連携を強化して、日本オラクルが持つDOAのノウハウを共有するほか、Oracle Fusion Middlewareのトレーニングも同グループを皮切りに展開していく。

 日本オラクルは10月中旬、Fusion Middlewareの中核となるSOA基盤製品群を再統合し、パッケージ化した「Oracle SOA Suite 10g Release3」を正式発表したばかり。

 「増加するサービスを一元的にポリシー管理できるWeb Serices Managerは、競合他社にはないもの」と清水氏。包括的なコンポーネントがそろえられており、価格も625万円(プロセッサ当たり)と、他社の半額程度に抑えられているという。

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