ソフトウェアアーキテクチャーという比較的新しい分野について概説するシリーズの第1弾。この分野のキーワードを説明し、優れたデザインのアーキテクチャーが、導入された環境にどのように寄与するのかを探っていく。
The Rational Edgeより:ソフトウェアアーキテクチャーという比較的新しい分野について概説する。今回はシリーズの第1弾という位置づけ。この分野のキーワードを説明し、優れたデザインのアーキテクチャーが、導入された環境にどのように寄与するのかを探っていく。なお、今回は第1回分の前篇をお送りする(アットマークアイティ編集部)
ソフトウェアへの依存度が高まっていることに疑問の余地はない。ソフトウェアは、複雑な航空管制システムだけでなく、かなり普及した携帯電話にも絶対欠かせない要素だ。実際、eBayやAmazonといった企業など、われわれが当然のように思っている多くの技術革新は、ソフトウェアがなければ存在していなかった。金融、小売り、公営企業といった従来の組織でさえも、ソフトウェアに大きく依存しているのだ。現代においては、ソフトウェアビジネスにまったく関与していない組織を見つけ出すことは難しい。
このような革新や組織が生き残るためには、依存するソフトウェアが必要とされる機能を実現し、十分な品質を保ち、期待されるときに利用でき、許容できる価格で提供される必要がある。
これらの特性はすべて、本稿のテーマであるソフトウェアアーキテクチャーの影響を受ける。ここでは、IEEEが以下のように定義する「ソフトウェアの比重が高いシステム」に重点を置いている。
ソフトウェアの比重が高いシステムとは、ソフトウェアがシステム全体の設計、構造、導入、および進化に極めて重要な影響を与えるシステムである(IEEE 1471より)。
本稿では特に説明のない限り、「アーキテクチャー」という用語を「ソフトウェアアーキテクチャー」と同義に使用する。本稿はソフトウェアの比重が高いシステムに重点を置いているが、ソフトウェアの比重が高いシステムでも、その実行にはハードウェアが必要であり、信頼性やパフォーマンスといった一定の品質はソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって達成されることは忘れないでおきたい。従って、ソリューション全体からハードウェアの部分を無視することはできない。これについては、本稿の後半でさらに詳しく説明する。
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