Webベースのアプリケーションをオフラインでも(2/2 ページ)

» 2007年03月19日 06時07分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
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オフラインアプリケーションの課題

 iNetOfficeのスナイダー氏によると、Webアプリケーションという観点からの最大の課題の1つは「ユーザーにとってできる限り単純で分かりやすくすること」だという。スナイダー氏によると、ブラウザ開発やWebアプリケーション開発に携わっている人たちにとってはオンライン/オフラインという考え方は直観的であるものの、「例えば花屋を経営している人にとっては……そんなユーザーにオンライン/オフラインについて説明しても、彼らの目はどんよりとしてくるんだ。理解したくもないし、どうでもいいし、といったことだから。ただただ、ちゃんと動いてさえくれればいいと思っているんだ」という。

 スナイダー氏によると、表計算やワープロのようなWebベースアプリケーションをオフラインでちゃんと動かすのは比較的簡単な部類なのだという。というのもそのようなアプリケーションは「より中央集権的」であり、扱うデータも少なめだからだ。一方メールは非常に多くのデータを要求する。メールのようなアプリケーションの場合、アプリケーションは「ユーザーがオフラインで必要とするものを正確に予測する必要がある。必要なものの30%しか手元になければ、ユーザーにとっては使ってみる価値はないということなんだ。95%あってはじめて、一部のデータが手元になくても仕事をすることは可能だということをユーザーは理解してくれるかもしれない」という。

 スタンダル氏によると、オフラインサポートは今後の重要課題の1つであり、アプリケーションが対応するかどうかは、Webアプリケーションの開発者次第になるだろうとのことだ。ブラウザベンダーは必要な機能を提供することはできるが、その後、その提供された新機能を利用するようにWebアプリケーション開発者の手によってアプリケーションを修正する必要があるのだという。

 スタンダル氏によるとメールアプリケーションの場合、Webアプリケーション開発者は、ユーザーのメールの大半はサーバ上に置いておき、ローカルには未読メールや最近のメールだけを保存するようにするだろうという。「ほとんどの開発者の場合、クライアントサイドのストレージにキャッシュしておくのは、エンドユーザーにとって意味や関心のある可能性が高いデータだけにするのではないかと思います」。

 ユーザーのデータが大量である場合、開発者がユーザーのデータをオフラインでの利用のためにすべてクライアントサイドに保存することにすると、いろいろと問題が生じる可能性がある。そこで、Firefox開発者のフィンクル氏によると、Firefoxではキャッシュの容量制限が実装される予定であり、また、開発者がユーザーのコンピュータ上でどれほどの量のディスク容量を使用して良いのかを判断するための手段が用意される予定だという。「Firefox ではまた、Webアプリケーションがデータの保存についてインテリジェントに決定を行うことができるようにするため、キャッシュとして使用可能なディスク容量があとどれくらい残っているのかを問い合わせるためのAPIを幾つか用意するつもり。このことについての技術的な詳細はまだ検討中だけどね」。

コラム:オフラインサポートについて

今現在のFirefoxのオフラインモードでも、(ローカルに保存されたキャッシュを利用して)Webにアクセスせずに文書を閲覧することはできる。これはこれで便利なのだが、ユーザーがGoogleのサーバに情報を保存することを前提としているGoogle Docsのようなアプリケーションを使用しようとする際にはあまり役に立たない。そこで最近、開発者たちは、ユーザーがWebに接続されていない状態であってもWebベースのアプリケーションを使えるようにすることに取り組みんでいる。言い換えると、ユーザーがオンラインなのかどうかを把握し、オンラインでない場合には情報をローカルに保存しておき、その情報を後でオンラインになったときにサーバ側に保存する、ということをアプリケーションにさせることができるということだ。つまりユーザーは、リモートのサーバから情報を取得しようとすることなく、ローカルに保存された情報を使って作業を進めることができるようになる。

Microsoftはかねてより、オフラインアプリケーションとして配布することが可能なHTA(HTML Applications)を提供している。しかしHTAは各種ブラウザ間での互換性がない。

しかし幸いなことに標準規格策定の兆しは見えており、現在WHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)が、永続ストレージオフラインに関する仕様などWebアプリケーションのための標準規格の策定に取り組みんでいる。


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