ビジネスマンが出張中、あるいは休暇中の際、電話がどのようにかかってほしいのか。そこで、ステータスに条件、選択肢を加えるだけでも実用的なプレゼンスができあがる。
本連載「IP電話の誤解を解く」では、本記事を含む以下の記事を掲載しています。
【第1回】プレゼンスって、必要?
【第2回】「使えるプレゼンス」を考える
【第3回】ビジネスプレゼンスの可能性を広げるテクニック(本記事)
寺下義文(日立コミュニケーションテクノロジー)
前回は、主にUA(電話機)側のプレゼンス機能の実装について説明したが、プロジェクトの目的はそれだけではない。もちろん、サーバ側で用意しなければならないプレゼンス機能についても検討してきた。
以下に、主にサーバ側に施すプレゼンス機能について説明したい。
まず、「出張中」という状態について検討した。今や携帯電話を持たない営業マンはいないはずだ。この状態を設定する人の気持ちの中には、出張に出たら自席の電話機ではなく、持ち歩く携帯電話に転送してほしいという想いもあるのではないだろうか。その方法は図1のようになる。
このような処理は、プレゼンスと呼処理が統合されているサーバ(B2BUA:Back-to-Back User Agent)であれば、さほど難しいことではない。またこの処理において、「状態」だけではなく「日時」という概念があることも無視してはならない。
なぜなら、出張に出たあとそのまま帰宅してしまうというケースもあるからだ。その場合、状態は「出張中」のままとなり、業務時間外であっても転送されることになってしまう。したがって、業務時間内なのか業務時間外なのか、休日か営業日なのかといった日時を条件に加えた上で、転送先が変えられるようにしなければならない。
実際、IP-PBXソフト「SkyIP-PBX」(SIP:OFFICEサーバのエンジンとして採用)では、着信ルールを構成する場合に、画面1において線で囲んだような条件設定が行えるようになっている。
このように、プレゼンス条件は選択肢にはせず、直接状態を表す“online”や“biz_trip”といった文字列を指定できるようになっている。これは前回の記事で説明した、状態の選択肢をユーザーごとにカスタマイズできるようにしたことに合わせたものだ。また、プレゼンス条件と併せて日時指定もできるように作っている。
これにより、業務時間外は自動応答またはボイスメール、業務時間内で在席状態なら机上の電話、業務時間内で出張中なら携帯電話へ転送、というように状態と日時に応じた着信設定も行えるようになっている。
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