UFO情報の収集にオープンソースを活用する超常現象ポータルサイト

The Anomalies Networkを運営するオラブ・フィリップス氏。彼の取り組みは、オープンソースの活用とはかくあるべきであるとわたしたちに訴えかけてくるようだ。

» 2007年04月10日 09時00分 公開
[Tina-Gasperson,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 The Anomalies Networkは、あらゆる超常現象をテーマとするポータルサイトだ。サイトはリモートFTPサイトのミラー、Webアーカイブ、大規模討論フォーラムなどから構成され、創設者オラブ・フィリップス氏の言を借りれば、LAMPスタック上で運用されている「巨大サイト」だ。

 フィリップス氏の超常現象への関心は子どものときにさかのぼる。「7歳のときのことです。ウォルナットクリークに住んでいたのですが、外で遊んでいたときに空飛ぶ円盤を見たのです。現在『スポーツカー・モデル』と呼ばれている種類のものでした。それが地球外のものかどうかは分かりません。しかし、そこからわたしの探求が始まったのです」。絶えることのないUFOへの情熱と技術好きという特性を生かして、フィリップス氏は大学在学中に資料をまとめ始めた。Anomalies.netの原形だ。しかし、「資料は信じられないくらい膨大な量でした。本当に大量なので、やり方を考える必要がありました。Windowsマシンは信じられないくらい高価で、わたしには手が出なかったからです」。大学でSlackwareを知ったフィリップス氏は自分のサイトをLinuxで運用し始めた。「とても気に入りました。元に戻したことは一度もありません」

 フィリップス氏にとって、Anomalies.netは趣味以上のものだ。一日中サイトを運用していたいほど打ち込んでいる。しかし、「コロケーションセンターの費用がかさむ」ため、昼間は、コンピュータでケーブルテレビを見られるようにするSlingboxという装置を販売する会社Sling MediaでIT管理者として働いている。「しかし、このWebサイトは2つの喜びを与えてくれます。コンピュータと存分に遊べますし、このWebサイトを通して、人々が自分の目撃したことを理解する手助けをすることができます。証拠を示しながら『ほら、しっかりして』と励ますことができるのです。オープンソースは、そうした活動に役立っています」

 例えば、Anomaliesが運用する5つのサーバのうち4つはCentOS上で動作している。UFOに関する情報を集めミラーしたりアーカイブしたりする際はNutchが大活躍。NucleusCMSを使ってサイトにきた人に無償のブログスペースを提供するという具合だ。

 フィリップス氏によると、オープンソースのテクノロジーは「防弾レベル」の堅牢性を持っており、サーバにLinuxを使っているお陰で時間も費用も節約できるという。「わたしにはコロケーションセンターに出かけてサーバをリブートする余裕はありません。ですから、オープンソースは大助かりです。Apacheにはたくさんのモジュールがあるのに、IISを使う理由なんてあるでしょうか。IISはクラッシュします。一方、わたしのLinuxコンピュータは1年以上もリブートせずに動いています。これは何物にも代えがたい利点です」

 オープンソースのテクノロジーを好むフィリップス氏ではあるが、最近、Linux上で動作するIBMのプロプライエタリ製品OmniFind検索エンジンを使うことに決めた。Anomalies.netを訪れた人が、必要な情報を検索できるようにするためだ。フィリップス氏としてはNutchを使いたかったのだが、この場合、Nutchは少し難しすぎるのだという。「Nutchは大いに気に入っています。わたしが管理用に使うなら申し分ありません。しかし、技術にまったく疎い人たちでもサイトに追加したり変更したりできるようにする必要があります。Nutchには、そうした仕組みがないのです」

 フィリップス氏は、今、UFOを目撃した日付とGoogle Maps APIをつなぐ機能をサイトに加えるため、PHPのコードに取り組んでいるところだ。「今はβテスト中で、もうすぐできあがります」

 「オープンソースは大いなるチャンスの場です。Freshmeatをのぞいて『自分も役に立てる』と思うような新しいプロジェクトを探せるのですから。そこでは、いままでにないことをする人を助けようとする人たちがたくさんいます。わたしは難しい問題にぶつかるとGoogleに入力します。すると、答えが得られ問題は解決します。ときには、プログラムを書いた人に尋ねることもあります。オープンソースコミュニティーは信じがたいところですよ。やり方が分からないときは、それを書いた人に聞けるのですから。おおかたは、実に親切な人たちです。プログラムを書けるから手伝っているだけ。わたしもそうありかたいと思っています」

 フィリップス氏は周囲の人たちにオープンソースソフトウェアを試してみるよう勧めている。「FedoraやCentOSを入手して、自分に合っているかどうか試してみてください。UNIXが性に合っている人もいるはずです。(LAMPについて)疑問があれば、オンラインで調べてください。そこには、どのようなことであれ、手順を追って説明してくれる解説があります。とても簡単です。Linuxがはじめてでよく分からないなら、誰かに聞けばいいのです。例えば、わたしに聞いてくれれば説明してあげます。わたしにも分からなければ、調べて分かったことを教えてあげます。それがコミュニティーというもの、大いなる財産です」

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