ペレンス氏、「GPL 3は法的リスクをはらむ」という主張を激しく批判(1/2 ページ)

オープンソースの開発者でエバンジェリストのブルース・ペレンス氏は、GPLバージョン3の草案に対するACTの主張を厳しく批判する。

» 2007年04月11日 10時17分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Association for Competitive Technology(ACT)の弁護士が、GNU General Public Licenseバージョン3の最新の草案は法的リスクをはらんでいると主張したことに対し、オープンソースの開発者でエバンジェリストのブルース・ペレンス氏が激しく批判した。

 「はっきりさせておきたいのは、ACTはMicrosoftのロビー活動部隊であり、できるだけ否定的なイメージを描こうとしているということだ」――ペレンス氏は米eWEEKの取材でこのように語った。

 「GPLソフトウェアがMicrosoft製品に取って代わろうとしているのが明らかなので、彼らは不安を抱いているのだ。しかも、彼らにとって重要な顧客のところでそれが起きているのだ。弁護士の仕事は、可能であれば相手を脅すことだ。その方が訴訟で勝つよりも安くつくことを彼らは知っているからだ」と同氏は言う。

 さらにペレンス氏は、IBM、Hewlett-Packard、Red Hatを含む二十数社の企業の弁護士がGPL 3の委員会のメンバーとなっており、GPL 3の草案に含まれる潜在的な法的リスクについて常に検討を行っていると指摘する。

 Free Software Foundationで(FSF)は、ACTによる法的評価に関するコメントを避けている。

 Sidley Austinの弁護士で、ACTの知的財産担当顧問を務めるリチャード・ワイルダー氏は、「GPLv3: The Legal Risks of Overreaching for Third-Party Patent Rights」(GPLv3:第三者の特許権を侵害する法的リスク)と題された分析リポートを作成した。

 この分析の中でワイルダー氏は、「法的に有効であり、しかも契約法ならびに議会によって制定された知的財産法にも準拠した特許ライセンスを妨げようとする行動は、ある時点で、GPLv3を開発中の人々やそれに賛同する人々を防衛策や批判にさらすことになるだろう」と主張している。

 ペレンス氏はこれに対し、「Free Software Foundationが法律に逆らい、既存の契約に違反し、政府とさえ衝突しようとしているという印象を与えることを狙った言葉に過ぎず、その主張を裏付ける事実を一切示していない」と一蹴する。

 「非当事者が、当事者に有効な契約を廃棄したり契約の締結を差し控えたりするよう強制あるいは勧誘する行動は、不法な干渉という訴因になり得る」とするワイルダー氏の主張に対して、ペレンス氏は「新しいライセンスの下でソフトウェアの新バージョンを提供することが、なぜ不法な干渉と見なされるのか理解できない。しかも、GPL 2のように受け入れられたライセンスの下で提供されるほかのバージョンが存在するのだ」としている。

 「Linuxディストリビューション(のユーザー)であれ誰であろうと、GPL 3の下でライセンスされたソフトウェアを使用するよう強制されることはない。自分たちが雇ったわけではないGPL 3開発者の支援を要求する権利は誰にもない。そして誰も、GPL 3の下でライセンスされたソフトウェアを、そのライセンスに従って使用する権利を否定されることはない」とペレンス氏は語る。

 「ほかの契約と互いに排他的な条項が含まれるライセンスは、GPL 3だけではない。ほとんどのライセンスがそのようになっている」(同氏)

 GPL 3は、誰に対しても特許ライセンスを取得することを禁じていない。そういったライセンスを他人に譲渡する方法に影響するだけであり、しかもそれは、そのライセンスがGPL 3の下でライセンスされた特定の著作権付きの知的財産に適用される場合に限られるという。

 「Linuxソフトウェアおよび関連サービスを提供する競合プロバイダーの間で、特許保有者とのライセンス契約の締結を拒否するという共同合意、あるいは特許保有者とライセンス契約を結ぶ企業に対する懲罰としてLinuxソフトウェアの供給を拒否するという共同合意がなされた場合、集団ボイコット理論に基づく独禁法違反に問われる可能性がある」とするワイルダー氏の主張については、ペレンス氏は「集団ボイコットとは、ほかの競合企業と取引しないという競合企業間での合意である」と指摘する。

 「GPL 3はそのような合意を行うものではない。われわれは、ダニエル・ウォレス氏がFSFに対して起こした訴訟で独禁法問題に対処した。この訴えは却下されただけでなく、裁判官は原告のウォレス氏にFSFの訴訟費用を支払うよう命じた。この一件が重要なのは、GPL 2にも特許に関する文言があり、GPL 2ソフトウェアとともに譲渡される特許ライセンスは、そのソフトウェアを利用する可能性のあるすべてのユーザーに対して適用しなければならず、さもなければそのソフトウェアを一切配布することはできないと規定しているからだ」と同氏は語る。

       1|2 次のページへ

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR