ペレンス氏、「GPL 3は法的リスクをはらむ」という主張を激しく批判(2/2 ページ)

» 2007年04月11日 10時17分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
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 さらにペレンス氏によると、GPL 3開発者は誰に対しても自分たちのソフトウェアを使用する権利を与える義務はないため、「供給を拒否する」というワイルダー氏の議論はインチキであるとしている。「インターネットを通じてソフトウェアをダウンロードできるので、ライセンスに準拠すれば誰でも利用することができる」と同氏は付け加えている。

 またペレンス氏は、「著作権を利用して、法定著作権の範囲を超える特許権のような対象を支配しようとする行動は、著作権の乱用であるという批判を招き、乱用をやめるまでそのような著作権の適用が一切認められなくなる可能性がある」というワイルダー氏の主張も退けている。

 「GPL 3は、ソフトウェアに適用される特許ライセンスを譲渡するのであれば、それをどのように譲渡しなければならないかに関する条件を規定している。GPL 3は、人々からいかなる権利も奪うものではない。しかしGPL 3抜きでソフトウェアを配布する権利は一切ない。この規定のデフォルトは『All rights reserved』(著作権所有)であり、このため、GPL 3が権利を与えない限り、ソフトウェアに付随する特許ライセンスを譲渡する権利は一切ない」(同氏)

 ペレンス氏によると、「FSFの真の関心事は、NovellとMicrosoftがオープンソースとプロプライエタリソフトウェアを結ぶ橋を構築する手段を見つけたことであり、これは基本的にFSFにとって遠すぎる橋である」とするワイルダー氏の主張も「まったく的外れ」だという。

 「GNU/Linuxシステム上で動作するプロプライエタリソフトウェアを作成することは、これまでずっと合法的であったし、現在もそうである。例えば、Oracleは問題なくそれを行っている。これはプロプライエタリとオープンソースの世界を結ぶ橋ではないというのだろうか。それが合法的であるのは、FSFがそうしたからだ」とペレンス氏は話す。

 Oracleがリンクするよう求められた主要なライブラリは、Linux用のGNU Cライブラリだけだという。同ライブラリは、GLIBC、あるいは単にlibcとも呼ばれている。「このライブラリはLGPLの下でライセンスされている。LGPLは、誰でもフリーソフトウェアライブラリをプロプライエタリソフトウェアに結び付けられるようにするためにFree Software Foundationが作成したライセンスである」と同氏は語る。

 「つまり、ワイルダー氏が言っていることは、Free Software Foundationは自分たちにとって十分にオープンではないとする世界最大のクローズドソフトウェア企業の主張を代弁したものだ。しかもMicrosoftはもちろん、FSFが所有するソフトウェアのあらゆる部分に対して認めている権利に近いものを人々に与えていない」(同氏)

 ACTで執行ディレクターを務めるモーガン・リード氏は、「対象著作物を譲渡する、あるいは対象著作物の譲渡権を獲得することによって普及させる」のであれば、特許ライセンスをすべての受取人に自動的に認めることを求める第3草案の内容には欠陥があるとしている。これはライセンス条件ではなく契約条件であるからだという。また、Microsoftなどの企業は契約の当事者ではないので、それに拘束されることはない、と同氏は話す。

 「この内容は非当事者も契約に含まれることを意味する――ライセンスを超越し、契約の領域に入ったというわけだ」とリード氏は指摘する。

 「第三者には何の権利も与えられず、義務が課せられているだけだ。しかも、受け入れるのに同意していない義務である。ソフトウェアライセンスに関する判例法は、契約形成における同意の重要性を否定していない。相互の合意は、法律が効力を与えるすべての契約の根底をなすものだ」(同氏)

 しかしペレンス氏にとって、Microsoftが現在、SUSE Linuxと引き換えることができるクーポンを顧客に提供しているという事実は、これらのクーポンが著作権付きのGPL 2ソフトウェアと引き換えられること意図したものであることを示している。

 「つまり、Microsoftは今日、GPL 2ソフトウェアの配布に積極的に参加しているわけであり、そうするためにGPL 2に同意したのに違いない。GPL 2に同意せずに配布することは違反であるからだ。彼らはGPL 2に従い、誰であろうともNovellのディストリビューション内で適用されるMicrosoftの特許を、GPLソフトウェア内で使用する権利を既に放棄したのだ――永久にだ」(ペレンス氏)

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