4月25日、北海道・旭川市の旭山動物園はマイクロソフトとの協業によって、地球の生命をモチーフとしたインタラクティブなWebサイトを構築、公開を開始した。
4月25日、北海道・旭川市の旭山動物園はマイクロソフトとの協業によって、インタラクティブな3D表現などを可能にするWPF(Windows Presentation Foundation)を利用したWebサイトを構築、同日から公開したと現地で発表を行った。
北海道・旭川市にある市立旭山動物園は、動物の生態を自然のままに紹介する「行動展示」で全国的に知られている。旭川市長の西川将人氏によると、平成18年度は305万人の入園者数を記録し、旭川市の観光の核としての役割も大きいという。
旭川動物園では行動展示による自然保護のコンセプトを全国的・世界的にさらに広めていくため、より表現力の高いWebサイトの構築を進めてきた。今回のWPFを利用したWebサイト構築の実作業では、旭川でITによる地域振興を目指した活動を行っている旭川ICT協議会(AICT)、日本各地においてIT推進活動を続けているマイクロソフトの二者が加わり、三者共同によるWebサイト構築が推し進められ、今回の発表となった。自治体を含む公共施設に対してマイクロソフトが協力し、WPFのWebサイトを開設するのは今回の旭山動物園が初の成果になる。
「Mother Earth(母なる地球)」と名づけられた今回のWebページでは、WPFを最大限に利用したユーザーインタフェース(UI)が採用され、世界各地に生息する動物の生態が写真やアニメーションなどを駆使した臨場感ある表現手法で紹介されている。園内で飼育されている動物が実際の地球上ではどの地域に生息しどのような生態をもつのか、あるいはそれぞれの動物の体の特徴といったものを動画などを交えて立体的に楽しむことができる。同園の既存のWebページのメニューの一部になっており、従来コンテンツを補完する役割を担う。
旭山動物園の小菅正夫園長は、「動物園のコンセプトである自然と、最新のテクノロジーをいかに融合させていくかが課題だった」と語る。そして「われわれの一番の希望は、自然や動物を通した生命へのメッセージをより多くの人々に伝えたいということ。では、来園してもらえない人々にはこれを伝えられないのだろうか。この難題を解決してくれるのが今の新しい社会の技術」と述べ、世界中の誰もが旭山動物園を体験できるWebサイトの実現に顔をほころばせた。
マイクロソフト日本法人社長のダレン・ヒューストン氏も、WPFによるWebサイトの構築を喜ぶ。「旭山動物園の展示には感銘を受けた。しかしながら動物園は『実際に触れて経験する』もの、一方のWebは『情報を遠く離れて利用する』ものというように相反した性質を備えている。この2つを結びつけたのがITの新しい技術。人々に対して新しいレベルの体験を与えることができるようになった。」(ヒューストン氏)
「熊やライオンを見たい、調べたいと思ったとき、われわれが子供のころは実際に動物園へ行くか図書館へ行って百科事典を見るしかすべはなかった。今ではWebを使って、世界のどこからでもこうした体験をすることができる」(ヒューストン氏)
実際の制作期間はおよそ2カ月。WPFとその開発ツールを利用したことで、要件に沿うための修正作業や機能追加なども迅速に行え、さらに将来の拡張などにも柔軟に対応できるという。なお、今後はAICTが本Webページの運用管理と拡張開発を行っていく。
今回の協業は、マイクロソフトが日本市場で進めている施策である「PLAN-J」の動きの1つとなる。官民連携のパートナーシップや技術革新による地域振興といった趣旨で、今後も同様の活動を続けていくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.