電子マネーサービス「e-Gold」の運営会社とそのオーナーが、サイバー犯罪者の送金に手を貸した容疑で起訴された。
オンラインの電子マネーサービス「e-Gold」の運営会社とそのオーナーが、サイバー犯罪者の不正送金に手を貸した容疑で起訴された。
米司法省の発表によると、e-Goldにはマネーロンダリングの疑いに加え、政府の許認可およびライセンスなしで送金事業を行った疑いがもたれている。
e-Goldは、インターネットを介して手軽に送金/資金移動を行えるサービスで、電子メールアドレスさえあればアカウントを設定できる。起訴状では、このサービスがオンライン犯罪者の送金手段として盛んに利用されていたと指摘。クレジットカード詐欺や投資詐欺、ID盗難、チャイルドポルノ販売といった不法行為の送金手段として最も「好まれていた」としている。
起訴状はさらに、e-Gold側は、取引が不法行為によるものであることを知りながらこれを黙認していたと指摘。この行為が、連邦のマネーロンダリングに関する法令に反するとしている。
司法省のリリースの中で、FBIサイバー部門のアシスタント・ディレクター、ジェームズ・フィンチ氏は、「新たな電子的通貨システムの登場により、犯罪者、さらにはテロリストらがこのシステムを悪用してマネーロンダリングを行ったり、グローバルに送金を行うリスクが高まった」と述べている。
この起訴に関してSophos Labsのソフォスのシニアテクノロジコンサルタント、グラハム・クルーレイ氏は、アカウントを申し込むユーザーの身元をチェックせず、偽名でもアカウントを容易に作成できたe-Goldの体制には、以前から批判があったと指摘。ローカルファイルを暗号化して「人質」にし、送金を強要するトロイの木馬「Troj/Zippo-A」に代表されるとおり、e-Goldを送金手段として利用したり、そのアカウント情報を盗み取る悪意あるコードの実例には事欠かないとしている。
同様にF-Secureも、e-Gold側がサービスが悪用されていることを知っていたかどうかは分からないとしながらも、DDoSによる脅迫の際の送金先として使われるなど「多くの犯罪者がe-Goldを利用する事例を目にしてきた」とブログで述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.