イージェネラがXenを統合、最大60%の価格引き下げで新市場開拓へ

仮想化技術で差別化するイージェネラが大幅な価格引き下げでユーザー層の拡大を狙うとともに、Xenを統合したソフトウェア製品「vBlade」も発表した。

» 2007年05月08日 14時26分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 ブレードベンダーのイージェネラは5月8日、最大60%近い製品価格の大幅な引き下げとXenを統合したソフトウェア製品「vBlade」を発表した。

 ゴールドマンサックスのCTOを務めたバーン・ブローネル氏が2000年に創業したイージェネラのブレードサーバ「BladeFrame」は、ストレージやネットワークも含めた仮想化機能に定評があり、金融業界で多くの顧客から支持され、日本国内でも約40社が採用している。

 ただ、BladeFrameは、仮想化によってデータセンターの簡素化を図り、TCOの削減やコンピューティングのユーティリティー化を実現できる反面、ほかのサーバベンダーらと比較した場合の割高感がネックとなっていた。

 都内で行われた記者発表会で大木稔社長は、「高機能だが高価、というイメージを払拭したい」と話す。

 最も引き下げ幅の大きいのが、エンクロージャーに制御、I/O、スイッチのユニットが付き、そしてブレードが2枚というエントリー向けの最小構成だ。今回の価格改定では一気に約57%引き下げられ、1000万円を切った。イージェネラ製品の特徴でもある、完全二重化構成で仮想化ソフトウェアの「PAN(Processing Area Network)Manager」も含まれているものの、これまでは約2300万円という値付けだった。

 「米国市場では顧客企業が金融中心から通信・公共・製造へと広がりを見せており、国内市場においてもユーザー層を拡大したい」と大木氏は意気込む。既に大手通信事業者2社がBladeFrameを採用しているほか、公共分野でもこの4月に採用決定されたという。

XenSourceのXenEnterpriseを統合するvBlade

 イージェネラでは、価格の大幅引き下げと同時に、その差別化要因である仮想化技術には、Xenのハイパーバイザー機能を統合し、さらに磨きをかける。

 仮想化技術には、資源をプール化する技術と、プロセッサ資源などを細分化するパーティショニング技術がある。イージェネラがPAN Managerによって提供するデータセンター仮想化機能は前者であり、XenやVMwareのハイパーバイザー機能は後者だ。インテルのXeonやAMDのOpteronがマルチコア化を図り、高性能化する中、その資源を細分化して使用効率を高める意義は大きい。

 「XenSourceのXenEnterpriseを統合するvBladeによって、タテにもヨコにも割ることができるようになる」と話すのはイージェネラでマーケティングとアライアンスを統括する太田安信氏。しかも、PAN Managerがハイパーバイザー機能を管理できるようにシームレスに統合されているため、顧客は仮想化されたブレードを定義するだけで、あとは使い慣れたPAN Managerのインタフェースで管理できる。

 「新しいハイパーバイザー技術を活用するといっても、管理上の負担は少ない」と太田氏。

 なお、VMware ESXの統合も今年秋に予定しているという。

災害バックアップソリューションもパッケージ化

 さらにイージェネラでは、vBladeの販売を開始すると同時に、災害バックアップソリューションをパッケージ化した「PAN Portability Software」の販売も開始する。

 通常、ディザスタリカバリーシステムを実現するためには、サーバ、ネットワーク、ストレージといった幾つもの構成要素の情報が必要となり、メインシステム側に変更が加えられるごとにバックアップシステム側にもきちんと反映させることが難しかった。これに対して、PAN Portability Softwareでは、ネットワークやストレージも含め、すべての構成要素が仮想化され、その定義情報もXML化してサイト間で完全に同期させることができるという。このため、N+1の効率的なフェールオーバーを可能とするほか、バックアップサイトのシステムを普段は開発やテストのための環境として活用することも可能となる。

 既に国内でも三菱UFJ銀行やカブドットコム証券などが、イージェネラのBladeFrameでディザスタリカバリーシステムを構築しているという。

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