JavaOne開幕で明らかとした究極の“オープン”2007 JavaOne(1/3 ページ)

Javaの次なる展開について問われることが多くなった。2007 JavaOneが開幕し、基調講演では“OPEN POSSIBILITIES”がメインテーマとして掲げられた。

» 2007年05月09日 18時52分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 米国現地の5月8日、米国サンフランシスコでJavaアプリケーション開発者のカンファレンス「2007 JavaOne」が開幕した。初日午前のゼネラルセッションでは、ソフトウェア対応CTOのリッチ・グリーン氏が担当し、さまざまなアナウンス、さまざまなゲストを織り交ぜた、盛りだくさんの講演を展開した。

オープンソースが世界を変える

 まず登壇したのは、毎年ホスト役を務めるSunでチーフ・リサーチャーのジョン・ゲージ氏。同氏はこれも例年お馴染みのメッセージである“Don't be shy(恥ずかしがらない)”と聴衆に呼びかけ、参加者間でのコミュニケーションを活発にすることで、新たなものを生み出していくという基本理念を再確認した。

JavaOneは、ホスト役としておなじみとなったジョン・ゲージ氏のメッセージから始まる

 今年のメインテーマとして掲げられていたのが“OPEN POSSIBILITIES”であり、意を汲むとすると、「オープンであることでさまざまなことが可能になる」という感じになるだろうか。このゼネラルセッションも、大きくはこのテーマを具体例を挙げながら示していく形になっていた。

 また、ゲージ氏はオープンソースの普及拡大があらゆるソフトウェアに影響を及ぼしているという認識を示し、「現在では、事実上世界中のあらゆるデバイスにソフトウェアが組み込まれつつある。オープンソースはソフトウェアに多様性をもたらし、結果としてコストダウンを促す。これにより、従来ITの恩恵を受けることが遅れていた“世界の残りの部分(Rest of the World)”での利用が拡大していく」と語った。

アナウンスラッシュとなったゼネラルセッション

 続いて登壇したソフトウェア担当Executive Vice Presidentのリッチ・グリーン氏は、Javaを取り巻く現状を整理しつつ、さまざまなアナウンスをゲストを招きながら紹介していった。

 まずは、2007年でJavaは誕生から12年を経たが、現在もまだ「加速中」である、と紹介され、Javaに対応したデバイスの出荷数など、さまざまな具体的な数字を挙げながら2006年にもJava環境が大きな成長を遂げたことを示した。

 続いて、さまざまなアナウンスがゲストスピーカーを招きながら行われた。

 まず発表されたのが、オープンソースプロジェクトして開発されているJavaアプリケーションサーバ「GlassFish」をベースとした新しい「Sun Java System Communications Application Server」について。Ericssonとの共同開発となるものだ。

 壇上にはEricsonのVP Marketing&Business Development, Multimedia、Martin Harriman氏が招かれ、将来のライフスタイルのイメージとして、外出中の母親と家にいる家族が、携帯電話やPC、TV+セットトップボックスといったさまざまなデバイスを使って自由にメッセージ交換し、コミュニケーションを行う様子をストーリー仕立てとしたイメージビデオが上映された。

 また、Real-Time Javaの発展も報告された。Real-Time Javaは、JSR 1として取り組みが始まった比較的古いプロジェクトだが、最新の環境では、従来のスレッド生成の代わりにリアルタイムスレッドを生成するだけで簡単にリアルタイム機能を利用できることが示された。

グリーン氏に招かれて登壇したジェームズ・ゴスリング氏もまた、Real-Time Javaについての取り組みが多い

 ゲストとして招かれたNASDAQのCIO、Anna Ewing氏は、「NASDAQで処理しているトランザクション量は毎秒15万378トランザクションに上る」ことを紹介し、現在Javaで構築されているNASDAQの取引システムでリアルタイム機能を取り入れて拡張することで、スムーズにシステムのアップデートが可能になることに対する歓迎の意を表明した。

 2006年秋に発表されたJavaのオープンソース化に関する具体的な動きが明らかになったことも、今日の重要なトピックの1つである。ゼネラルセッションでオープンソース化の具体的な成果として「Open JDK」のリリースが発表された。「今日はJavaにとっての歴史的な日だ」とし、グリーン氏が壇上で開発者コミュニティの活動の舞台であるjava.net向けのアナウンス文をメーラでタイプインし、発信するという演出も行われた。ただし、最初同氏は宛先のメールアドレスを間違ってタイプしており、客席からの指摘を受けてこれを修正するという一幕もあった。

 これは、JavaOneが緻密に計算され、準備されたマーケティングプロモーションの場というよりも、現在においても開発者相互のコミュニケーションの場という性格を色濃く残していることの反映と理解できる。

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