トレーラーにけん引される巨大なコンテナのインパクトに目を奪われがちだが、テクノロジーインパクトは「ラック水冷化による超高密度実装の実現」にあるという。その内部写真を見せよう。
米国サンフランシスコで開催中の「2007 JavaOne」の展示会場では、Sunの“Project BlackBox”の実物が展示されており、内部を見学することができる(関連記事)。BlackBoxの中身はどうなっているのだろうか? リポートしよう。
Project BlackBoxは、2006年8月にプロトタイプが公開されて話題となったもの。業界標準の貨物用コンテナの内部にデータセンターを作り込んだのだ。必要に応じてモジュラー型で追加していき、必要なだけのITリソースを利用できるようになる。
ITがコモディティ化し、ユーティリティ化するという予測は既に多くの人が同意する状況だが、それを単なる概念レベルの話ではなく、目に見えるコンテナという形で実現したことのインパクトから注目を集めたのだが、実のところ「ジョークを本気で実現した」的な捉え方も多かったのではないだろうか。
Project BlackBoxは、その視覚的インパクトから「コンテナ」の部分に目を奪われがちだが、説明をよく聞いてみると、実は技術的なポイントは「ラックを水冷化することによる超高密度実装の実現」という点にあることが分かる。
最近ではPCでも水冷モデルが入手できるし、ハイエンドの大規模サーバやスーパーコンピュータなどでは水冷システムが以前から利用されていた。しかし、これはあくまでも機器自体が水冷として設計されているものだ。しかし、Project BlackBoxでは使用するサーバなどの機器は一般的な空冷モデルであり、ラック間に水冷システムを設置することで対応している点が特徴だ。
空冷の場合、気流を確保するためにラックの周囲に相応のスペースが必要になる。ラックを横一列にズラッと並べることは普通にできるが、前面と背面は大きく空いており、このスペースを使って熱気を逃がしている。その結果、データセンターでは床面積の半分程度は単なる空き地となっている。これをぎっしり埋めてしまうとラック内部の温度が急上昇し、熱暴走や破損につながることになる。
Porject BlackBoxでは、中央に人1人がちょうど通り抜けられる程度の幅の通路を確保し、両側に19インチラックを4本ずつ、計8本収容している。通常と違うのは、ラックの向きが90°回転しており、通常は側面に当たる部分が通路に面するように配置されている点だ。側面はパネルで覆われており、気流が通路に漏れないようになっている。こうしてラックは前後に並ぶ感じになり、前のラックの背面と次のラックの前面が向かい合う形だ。これだと、前のラックの背面から吹き出す熱気が次のラックに流れ込むことになるため、間に熱交換機が置かれている。要は自動車のラジエータに相当するもので、この中を冷却水が流れて気流を冷やす。
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