大学間の連携可能な電子認証基盤実現を目指す「私設応援団」発足

エントラストジャパンら4社は、複数の大学にまたがる電子認証基盤の実現を支援する「学術機関向けUPKIプロジェクト」を発足した。

» 2007年05月15日 21時29分 公開
[ITmedia]

 エントラストジャパン、セコムトラストシステムズ、住生コンピューターサービス、日立システムアンドサービスは5月15日、大学や学術機関向けの電子認証基盤の構築・統合を共同で支援していくことを発表した。4社協同で「学術機関向けUPKIプロジェクト」を発足し、複数の大学にまたがる電子認証基盤の実現に向け、ソリューションを開発、提供していく。

 国立情報学研究所(NII)は2007年2月に、複数の大学間で連携可能な認証システムの構築を見据え、全国共同電子認証基盤(UPKI)の共通仕様を公開している。各大学がこの仕様に基づき、電子証明書を活用したキャンパスPKIを構築することで、相互に連携可能な認証システムを構築。例えば、共同研究時の認証や大学間のシングルサインオン、学会の際のゲスト用ネットワーク提供といった形で活用することを目指す。

 学術機関向けUPKIプロジェクトは、この「私設応援団という位置付け」(エントラストジャパンの営業部部長、芳賀悟氏)だ。

 「2000年頃から大学間連携のためのインフラ整備が進んできており、ギガビットネットワークなどの通信インフラについてはほぼ導入が完了した。だが、その上で情報共有などを進めるとなると、『どの大学の誰なのか』といったことを確認する必要がある。そのための認証基盤整備を目指しているのがUPKI構想だ」(芳賀氏)

 エントラストジャパンではこれまで、電子証明書を発行するための認証局を構築する「Entrust Authority」をはじめ、シングルサインオンシステムの「GetAccess」、二要素認証を実現する「Entrust IdentityGuard」といった認証関連製品を提供してきた。これらの製品を軸に、パートナー各社が強みとする製品/サービスを組み合わせて提供することで、UPKIの構築を低コスト・短納期で実現していくという。

 具体的には、セコムトラストシステムズではこれまでも提供してきたASPサービスや災害対策/物理セキュリティサービスと、住生コンピューターサービスでは、ワークフローパッケージなど業務アプリケーションとの組み合わせを想定。また、日立システムアンドサービスではアプリケーション開発に加え、ネットワークセキュリティ製品を提供していく。

 「文教マーケットを取り巻くコスト/投資圧縮という環境の中で、プルーフオブコンセプトベースで、短納期できちんと機能を提供していく」(芳賀氏)。既に東京工業大学では、UPKIを視野に入れ、GetAccessを中心としたキャンパス認証システムを約3カ月で稼働させている経験も強みになるとした。

 学術機関向けUPKIプロジェクトでは、UPKIの立ち上げ、参画に興味を抱く大学に対し、共同で営業/マーケティングおよび開発を進め、3年後に100大学以上からの案件獲得を目指す。

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