グーグルが本格参戦、SaaS市場が一大激戦区に(1/3 ページ)

SaaS市場での主導権を握ろうと、新興ソフトベンダーに、マイクロソフト、オラクル、SAPといった巨大ソフトベンダーが対抗し、さらにはグーグルが本格参入。一大激戦区になりつつある市場の行方は?

» 2007年06月07日 07時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト編集部]

 インターネットを介してアプリケーションソフトをオンデマンドで提供する「SaaS(Software as a Service)」を巡る動きが、ここにきて一段とめまぐるしくなってきた。この分野で急成長を遂げつつあるセールスフォース・ドットコムに代表される新興ソフトベンダーに、マイクロソフト、オラクル、SAPといった巨大ソフトベンダーが対抗、さらにはグーグルが本格参入し、まさしく一大激戦区となりつつある。

SaaSを生んだ立て役者の横顔

 SaaSの牽引役を果たしてきたセールスフォース・ドットコムについて少し紹介しておこう。

 同社は1999年、業務アプリケーションソフトをWebサービスとして提供するというコンセプトのもと、当時オラクルの幹部だったベニオフ氏によって設立された。主力のオンデマンドCRMアプリケーション「Salesforce」は、企業の営業、サポート、マーケティング部門の支援やパートナー情報のオンデマンドによる情報共有および一元管理を可能にする。

 とりわけ顧客から高い評価を得ているのは、導入と運用の簡便さだ。短期間で導入・運用でき、しかも使いやすいことから、早期にROI(投資対効果)を上げられるとあって、顧客数は着実に増加。07年1月末時点で全世界2万9800社、64万6000ユーザーがSalesforceを利用しており、この分野ではまさしくリーディングカンパニーである。

 同社が設立された99年といえば、SFA(営業支援システム)が一躍注目されるとともに、ドットコム企業が全盛期だった頃だ。日本法人が設立されたのは翌2000年。当時は日本でのムードも米国と同じだった。しかし、その後SFAはすぐに根付かず、ドットコム企業も多くが水泡と化した。

 ただ当時乱立したドットコム企業の中でも、同社へ注がれる周囲の目は他社とは違っていた。例えばスタンフォード大学ビジネススクールなどでは、将来のIT産業を大きく変革する可能性のある存在として同社に着目。格好の研究材料にするほど、そのポテンシャルに大きな期待を寄せていたのである。

 その変革の芽が育ってくるにつれ、同社が描いてきたビジネスの仕組みを表す新たなキーワードが脚光を浴びるようになった。それがSaaSである。

関連キーワード

SFA | Oracle | SaaS | Salesforce.com


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