SOAでシステム間連携を簡素化、BPMも視野に入れる出光興産BEA Industry Analyst and Media Summit 2007 APAC Report(1/2 ページ)

「BEA Industry Analyst and Media Summit 2007 APAC」で、石油大手の出光興産がSOA導入の取り組みについて紹介した。同社システム総合研究所の山村所長は、BPMによる継続的な業務改善も思い描いている。

» 2007年06月29日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 インドネシアのバリ島で7月27日に開幕した「BEA Industry Analyst and Media Summit 2007 APAC」で、石油大手の出光興産がSOA(サービス指向アーキテクチャー)導入の取り組みについて紹介した。

 「SOAのような3文字略語の使用は社内では厳禁」── そう話すのは、アポロマークでお馴染みの出光興産でシステム総合研究所の所長を務める山村俊行氏だ。2004年から現職にあるが、それ以前はユーザー部門だったという。

 「ユーザー部門からすれば、何かごまかされているような気がしてしまう。システム部門は、日本語できちんと分かりやすく説明し、何ができるのかを約束してほしい」と山村氏は話す。

 システム総合研究所は、同社システム部門に属し、ITに関する新技術を検討し、システム開発や更新に寄与する役割を担っている。

「部下には仕事を好きになってほしい。そのためには一所懸命働いてほしい」と山村氏

 日本の石油産業が過当競争の状態にある中、出光興産もこの数年、選択と集中による事業構造改革に取り組んでいる。2003年、それまで6つあった製油所を4つに減らしたほか、不採算事業からの撤退を進める一方、先端技術を生かした成長事業に戦略的な投資を行ってきた。また、それまで非上場の大企業として知られた同社だったが、2006年には市場から資金調達を図るべく東証1部に上場した。

 山村氏がシステム総合研究所の所長に就いた2004年は、こうした事業構造改革のまっただ中であり、それに伴うビジネスニーズの変化に対して迅速に対応できるよう、基幹システムの再構築も2005年から始まった。

 「長年の追加や修正でプログラムが複雑になっており、さらにさまざまなサブシステムが複雑に連携しあっていた。レガシーとオープンの混在もあって、まさに“スパゲティ化”していた」と山村氏は当時を振り返る。

変化対応力のあるシステム基盤の整備

 基幹システムの再構築に対する基本的な考え方は、以下の3つだった。

  • 上場に備えた情報開示の早期化
  • 経営判断に必要な情報の一元化と早期提供
  • 変化対応力のあるシステム基盤の整備

 「業務の内容は変わらなくても、枠組み、例えば組織が変わった場合にもシステムは変更しなければならない。そうした際にもITがボトルネックにならないようにしなければならない」と山村氏。

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