Nintendo DS(Lite)でオープンソース系ソフトウェアを使用するGadget Hacks(2/3 ページ)

» 2007年07月29日 00時00分 公開
[Dmitri-Popov,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

実用的なツール群を一括で提供するDSOrganize

 DSOrganizeとは、制作者本人の説明を借りれば「Nintendo DS用に自作されたオーガナイザアプリケーションで、本来最初から組み込まれていてしかるべきもの」という存在であり、実際その通りの機能を秘めている。ただしDSOrganizeを“オーガナイザ”と呼ぶのは誤解を招きかねない表現であり、Calendar、Day Planner、Address Book、Todo List、Scribble Pad、File Browser、Calculator、IRC Client、Web Browserという実用的な9つのツールで構成されたその実態に即せば、むしろアプリケーションスイートというべきものだろう。つまりDSOrganizeをインストールすることで、基本的にゲームコンソールであるNintendo DSが、このサイズのポケットコンピュータに早変わりするのである。

 例えばDSOrganizeにはスケジュール用アプリケーションとして、Calendar、Daily Planner、Todo Listという3つのツールが組み込まれている。しかもこれらのユーティリティは相互に連係して機能するのだ。具体例としてCalendarを取り上げてみよう。これは単なるカレンダーだけではなく、月間カレンダーを表示させるエントリポイントであると同時にリマインダのクイック作成画面も兼ねている。

 そしてView Dayボタンをクリックすると起動するのがDaily Plannerモジュールであり、ここでは各自の予定やイベントを登録できる。同様にTodo Listツールを使用すると、各自のタスク管理が行える。DSOrganizeでは、これら3つのモジュールで入力されたデータをNintendo DSの上部画面に統合表示するようになっており、具体的には本日分のリマインダ、予定、タスクがStartウインドウ上に一括表示される。この方式は、簡潔かつエレガントなソリューションと評していいだろう。

 DSOrganizeでのデータ入力は基本的に仮想キーボードを用いることが想定されているが、ウインドウやアプリケーションの切り替えなどの処理はNintendo DSのボタンを積極的に利用するようにもなっている。またボタン操作の大半はハードウェア的な割り当ても行われており、例えばBボタンを押せばDaily Plannerへの切り替え、Aボタンを押せばリマインダの編集、Homeボタンを押せば常にStart画面に復帰するといった具合である。その他 DSOrganizeに関しては、カラー表示を巧みに使ってデータ表示の視認性を高めている点も評価すべきだろう。例えばCalendar上の表示は、リマインダの設定された日付はオレンジで示され、イベントの設定された日付は下線付きのパープル表示といった配色になっている。

 とは言うものの、さすがにカレンダーに住所録データを連携させるような機能までは装備されていないが、必要であればDSOrganizeからこれらのデータをユーザーが抽出することも簡単に行える。アポイントメント、予定、タスク、リマインダとしてアプリケーションに登録した情報はプレインテキストファイルとして記録されているので、通常のテキストエディタで表示させればいいのだ。特にAddress Bookに関しては、この種の操作が最初から考慮されている。DSOrganizeではこれらのデータを標準的なvCardファイルで格納するので、vCard互換アプリケーションであれば簡単にインポートできるのである。ただ1つ苦言を呈すとすれば、カット&ペースト機能がつけられていないためテキスト情報の編集がやりにくい点を指摘しなければならないだろう。

 DSOrganizeで次に注目すべきモジュールは、File Browserである。これはその名が示す通り、ストレージカード上でのファイル管理やディレクトリのブラウジングをするためのツールである。しかも、 File Browserがサポートするファイルフォーマットは非常に多岐にわたっており、メディアプレイヤー、画像ビューワー、テキストエディタなどに対応した事実上のマルチブラウザになっている。例えばミュージックフォーマットだけでも、WAV、MP3、Ogg、FLAC、ACCをサポートしているだけでなく、PLSおよびM3Uのプレイリストも扱うことができるのだ。

 このブラウザはMP3とOggストリームにも対応しているので、理屈上はNintendo DS上でインターネットラジオの再生もできるはずだが、実際にはストリームデータのバッファリングに時間が掛かりすぎるため、残念ながら実用に供するのには無理がある。その一方でFile Browserは一般的なグラフィックフォーマットである、GIF、Bitmap、JPEG、PNGをサポートしているので、簡易画像ビュワーとして利用することもできる。またブラウザ上でのテキストファイル作成は行えないが、既存ファイルを編集することは可能であり(目的のテキストファイルを選択してYボタンを押す)、この種のデータに関しても簡易テキストエディタとしての利用が可能だ。

 DSOrganizeのそのほかのモジュールも、操作性と機能性を兼ね備えたものに仕上げられている。例えばScribble Padは、かなり遣い手のあるドローイングアプリケーションであり、コンピューティング作業中に簡単なメモを取ったり、退屈な会議を聞かされている間のイタズラ書きをするのに使えるだろう。IRCモジュールも実用的なIRCクライアントに仕上がっており、Web Browserを使えばWebページの簡易チェックも行える。ただし後者のモジュールはテキストベースのブラウザなので、日常的なWebサーフィンには適しておらず、あくまで緊急時の代替ツールとして使用すべきものである。なおこれら2つのアプリケーションを動作させるには、Nintendo DS用のWi-Fi系ゲームかOperaブラウザを使用して、事前にワイヤレス接続を設定しておかなければならない。

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