Oracleの中国への投資はさらに拡大するOracle OpenWorld Asia Pacific 2007 Report(1/2 ページ)

Oracleは7月30日、上海に中国内で3つ目となるR&Dセンターの開設を発表した。世界的に展開している「Oracle Asia Research and Development Center(OARDC)」としては7番目となる。

» 2007年08月02日 19時08分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 Oracleは7月30日、Oracle OpenWorld Asia Pacificにおいて、上海に中国内で3つ目となるR&Dセンターの開設を発表した。世界的に展開されている「Oracle Asia Research and Development Center(OARDC)」としては7番目となる。上海のセンターも既存のOARDCと同様に、グローバルで今後の製品やソリューションの技術的な研究開発に貢献するだけではなく、中国、およびアジア地域のローカルな顧客要求に対応する研究開発も行われる。

中国がアジア太平洋地域の研究開発の中核に

 上海のセンターで進行中のプロジェクトの1つが、OpenWorldの展示会場でワインのトレーサビリティデモが行われている、日立のミューチップ(μチップ)を用いたユビキタスコンピューティングフレームワーク構築を目指したものだ。すでにこのプロジェクトについては、R-Ticketと呼ばれるチケット認証のシステムでの実績もある。

 2006年末に上海の盧湾区新天地地区で行われた大規模なパーティーでは、ミューチップを使用した参加チケットが採用され、7000枚を超える公式チケットのチェックシステムにOracle Sensor Edge Serverが利用された。結果的に3000枚の偽造チケットの検出、没収につながったという。このように、ローカルパートナー企業が持つ先端技術とOracleの技術を組み合わせ、新たなソリューションを生み出すのもOARDCの1つの大きな目的となっている。

 上海に3つ目のR&Dセンターを開設したということは、Oracleの中国への投資の大きなマイルストーンだ。この体制により、中国がアジア地域のR&Dネットワークの中心的な存在になる。

中国の市場としての拡大に投資する

 中国への投資は、このような研究開発に関連したものばかりではない。中国という大きなポテンシャルを持ったビジネス市場に対する投資も、今後さらに拡大すると同社はいう。実際、今回のOpenWorldへの参加者の80%は中国から参加の顧客だ。中国は低コストの労働力や研究開発の技術リソースを持っているという存在から、今や製品やサービスを送り込んでいく巨大な市場へと急激に変化している。

 アジア太平洋地区および日本の担当執行副社長であるデレック・ウィリアム氏によると、中国においてはとくにテレコム関連のビジネスが急激に拡大しているとのこと。また、金融関連やリテールのサービス分野も大きく成長している。こうした急激な市場成長に対応するために、例えば金融であれば、同じアジア太平洋地域で厳しい顧客要求を乗り越えてきたインドでの経験やノウハウを、中国にも応用して対応しているという。

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