「MSはオープンソースコミュニティーを分断した」――Ubuntuリーダーのシャトルワース氏(2/2 ページ)

» 2007年08月08日 07時00分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
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 シャトルワース氏は、Microsoftがもうすぐソフトウェア特許の廃止に向けたロビー活動を始めるのではないかとの見方も示している。

 「Microsoftは、特許訴訟を起こされて莫大な和解金を支払わされるようになる危険性が非常に高い。彼らは1980年代の収益構造を維持するための手段として特許を利用したいと考えてはいるが、今はもうそのような時代ではないことを彼らも理解し、もうすぐ方針を転換してソフトウェア特許の廃止に向けたロビー活動を始めるだろう。それが彼らを束縛から解き放つ唯一の手段であるからだ。Microsoftはまだ競争することができ、有力な競争相手だ。彼らは競争で卑劣な戦術に頼る必要はない」(同氏)

 またシャトルワース氏は、最近リリースされたGeneral Public License 3.0を全面的に支持しており、Ubuntu Linux用に作成される新しいコードは同ライセンスの下でリリースするとしている。

 「GPLv3は多くの点で優れたライセンスだ。(Linuxの創始者である)リーナス・トーバルズ氏らがこの新ライセンスに関して提起した問題の幾つかは、カーネルレベルの問題であり、それ以外の部分にはあまり関係がない。全般的に、これは非常によくできたライセンスだと思う。特に重要なのは、ライセンス作成のプロセスが素晴らしかったことだ。Windowsのエンドユーザーライセンスの作成でもAdobeのユーザーライセンスの作成でも、このようなプロセスは絶対に見られないだろう。いろいろと欠点はあるかもしれないが、GPLv3は一部のプロプライエタリライセンスよりもはるかに優れたライセンスだ」(同氏)

 同氏によると、GPLv3はGPLv2よりもずっとよくできており、はるかに適用範囲が広く、GPLv2が作成されて以降の業界の変化を反映しているという。

 「あらゆるコードをGPLv3に移行する必要があるとは思わないし、LinuxカーネルがGPLv3に移行しなければ問題だとも思わない。しかし結局のところ、ただ反発したり、GPLv3をむげに拒絶したりするのは無意味だ。わたしが本当に望んでいるのは、従来のライセンスに対する新ライセンスのメリットに関して、カーネル開発者の間で理性的な議論が行われることだ」とシャトルワース氏は話す。

 トーバルズ氏がGPLv3の規定の一部を公に批判したことをどう思うかとの質問に対して、「トーバルズ氏は柔軟で実利主義的な考え方の持ち主であり、Linuxとコミュニティーの利益を大切に思っている」とシャトルワース氏は語っている。

 「彼は断固とした態度を示すタイプのリーダーだが、考え方を改めるのを決していとわない。それが偉大なリーダーとしての彼の資質の1つだ。カーネルがGPLv3に移行するのはあり得ないとは思わないし、移行しなかったとしても大きな問題になるとは思わない」(同氏)

 シャトルワース氏は、Microsoftとはいかなる形の特許契約も結ぶつもりはないと強調しながらも、将来的に同社と協力する可能性は否定せず、制裁や関係断絶といった政策は正しくないという考えを示した。

 「企業は人間よりも変わる可能性がある。Linuxベンダー各社は間違った考え方が忍び込むのに対処しなければならなかった」と同氏は話す。ロンドンに本社を置くCanonicalも例外ではなかったという。

 「Microsoftとの関係は維持する必要がある。われわれがいつか将来、Microsoftと協力することになったとしても落胆しないでもらいたい。しかし今のところ、何も起きそうにない。彼らは現時点では、オープンソースコミュニティーのためになり、われわれが取り組む価値があると思えるようなものを何も示していないからだ」とシャトルワース氏は語る。「彼らは、現段階で提供できるものをあまり持っていないと思う。しかしWindows上で動作するオープンソースソフトウェアはたくさんあるので、われわれは彼らをむげに拒絶すべきではない」。

 「Microsoftのマルチメディアファイルフォーマットのライセンスを受けることにはまったく関心がない。Red Hatはライセンスを受けようとしているようだが」と同氏は話す。ただし、OEMの場合や特定のデバイスの場合については、その限りではないという。

 「しかしMicrosoftはいつか、同社が1997年以来喧伝してきたメディア戦略がうまくいっていないことに気付くだろう。Microsoftはメディアコンテンツチャネルとしての地位をまったく確立できないでいる。このため、彼らはたぶん別のアプローチを模索しようとするだろう」(同氏)

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