「MSはオープンソースコミュニティーを分断した」――Ubuntuリーダーのシャトルワース氏(1/2 ページ)

Microsoftがもうすぐソフトウェア特許の廃止に向けたロビー活動を始めるのではないかとの見方がある。80年代の収益構造維持手段は時代遅れ。MSも理解しロビー活動へと転換するのではという。

» 2007年08月08日 07時00分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 「Microsoftは数社の主要Linuxベンダーと特許免責契約を結ぶことにより、Linux/オープンソースコミュニティーを分断した」――Ubuntuプロジェクトのリーダーを務めるCanonicalのマーク・シャトルワースCEOは、米eWEEKの取材でこのように述べた。

 シャトルワース氏によると、Microsoftの戦略に秘められた狙いは、オープンソースコミュニティーにくさびを打ち込み、市場を混乱させることだという。さらに同氏は、MicrosoftがLinuxをはじめとするオープンソースソフトウェアによって侵害されているとする同社の235件の特許を開示にしないことに対しても、異論を唱えている。

 「これは、ゆすり行為だと言わざるを得ない。Microsoftのスティーブ・バルマーCEOが『(Linuxユーザーは)開示されていないバランスシート上の負債を抱えている』と語るのは、ゆすりにほかならず、われわれはそのような駆け引きに応じるべきではない。また、Microsoftが自社の知的財産のことを心配しているという点については、フリーソフトウェアコミュニティーには、他人の知的財産を侵害したいと考えている人いない。特許を開示すれば、われわれはコードを修正する。開示しないのであれば、どうしようもない」とシャトルワース氏は語る。

 Microsoftでは、どの特許が侵害されているかを開示すると述べているが、それはベンダーとの個別の話し合いの中でのみ行われるとしている。シャトルワース氏によると、それは開示ではないという。特許とは一般に公開される文書であるというのがその理由だ。

 「現段階では、Microsoftが本当にやろうとしているのは市場を混乱させることだというのは明らかだと思う。この狙いは功を奏しておらず、Microsoftとのそういった類の交渉に応じるのを拒んでいる企業はまったく影響を受けていない。逆に、交渉に応じた企業は高い代償を払う羽目になったことを示す証拠はたくさんある」(同氏)

 シャトルワース氏は、Microsoftが資金力に物を言わせてベンダー各社に特許関連契約を結ばせたことも非難している。同氏によると、そういった契約がコミュニティーを分断させるのを同社は知っていたという。

 「これらのディストリビューターが明らかに不利な契約を結んでしまったのは、短期的な財政的プレッシャーがあったためだ。これらの契約でお金を払っているのはMicrosoftだ。要するに、Microsoftは契約を金で買っているということなのだ。これはオープンソースコミュニティーにくさびを打ち込む格好になったと思う」(同氏)

 Microsoftの広報担当者は、シャトルワース氏の指摘についてコメントを差し控えている。

 「道を誤った企業にとって、これが良い結果に終わるとは思えない」とシャトルワース氏は言う。「結局、優秀な開発者の意欲をかき立てるのはオープンソースの精神なのだ。NovellがMicrosoftと契約して以来、開発者たちはNovellを見放し、OracleやGoogleなどの企業の方に行ってしまった。これはNovellにとって不幸なことだが、彼らの決定から当然予測された帰結であり、フリーソフトウェアの真の原動力は何かということに関する理解の欠如を示すものだ」。

 同氏によると、すべてのソフトウェア特許は、他人のアイデアをベースとして開発を行うプロセスを阻害するという形でイノベーションを妨げたという。「特許というのは、製品の中心的なアイデアの開示を促すことによってイノベーションを促進することが本来の目的であり、アイデアを神秘のベールで覆い隠すのが目的ではない」と同氏は語る。

 何らかの効果を達成するのに用いた方法とプロセスを文書化するのを発明者に促し、その見返りとして、そのアイデアに関してある程度の独占権を発明者に与えるというのが特許の考え方だ。「しかしソフトウェアの場合、コードがリリースされた瞬間に魔法の種が明らかになる。開発者が開示しようとしているものに対して独占権を与えることは、決して社会の利益にならない」と同氏は指摘する。

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