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» 2007年09月03日 15時59分 公開

「Microsoftの独占状態は変わらない」――7州の検事総長が主張

米国の7州の検事総長は、「独禁法訴訟の最終判決の主要条項は、Microsoftを取り巻く競争環境にほとんど影響を与えなかった」と主張している。

[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 米国政府とMicrosoftとの間の独禁法訴訟の歴史的和解は、同社がもたらした反競争的な障害を取り除き、ミドルウェア市場での競争促進につながったとする米司法省の見解に対し、7つの州が異議を唱えている。

 「カリフォルニアグループ」の原告として知られるカリフォルニア州、コネティカット州、アイオワ州、カンザス州、ミネソタ州、マサチューセッツ州、コロンビア特別区――の検事総長たちは、「市場におけるMicrosoftの力は衰えておらず、最終判決の主要な条項(ミドルウェアに関する条項)は、市場での競争状況にほとんど影響を与えなかった」と主張している(カリフォルニアグループの報告書全文はこちら、編注:リンク先はPDFファイルです)。

 最終判決がミドルウェア市場における競争促進をもたらしたかどうかという点に関する見解の相違は、9月11日に全当事者を集めて開催される次回の状況確認会議に先立って米連邦地裁のコリーン・コラーコートリー判事に提出された一連の報告書で明らかになった。

 Microsoftが政府と交わした独禁法訴訟の和解の条項および条件の大部分が今年の11月に期限切れになるため、これは非常に重大な問題だ。

 カリフォルニア州のエドマンド・ブラウン検事総長は8月30日、カリフォルニアグループを代表して、同意審決の有効性を疑問視する報告書を提出した。同氏は、最終判決の是正効果に関する報告書の提出に際してリリースした発表文の中で「この審決は、市場の競争を促進するという目的を果たさなかった」と述べている。

 同報告書は、「Microsoftの抱き合わせ違反は効果的に是正されず、Microsoftはその違反に伴う成果を引き続き所有しており、Microsoftの反競争的行為以前の競争状況が回復されていない」と主張している。

 Microsoftに対する独禁法訴訟の中心はIntel互換PC用OSの市場であり、同報告書によると、この市場でのMicrosoftのシェアは「一貫して超独占的レベルを維持し」、1992年の93%から2006年の92%へとわずか1ポイント減少したに過ぎないとしている。

 独禁法訴訟で主要な争点となったもう1つの製品であるWebブラウザについては、Microsoftは2002年の95%から2006年の85%へとシェアを10ポイント失ったが、「これでも独占レベルを十分に超えている」とカリフォルニアグループは主張する。

 サーバ市場に関しても、提出された情報に基づいて裁判所が予測したほど同市場は強力な競争要因にはなっていないと報告書は指摘。「それどころか、IDCのデータは、サーバOSの出荷本数におけるWindowsのシェアは2002年の55%から2007年の72%に増加したことを示している」。

 しかしこの見解は、司法省および「ニューヨークグループ」と呼ばれるニューヨーク州、ルイジアナ州、メリーランド州、オハイオ州、ウィスコンシン州の見方と正反対である。

 同グループは提出した報告書の中で、「ミドルウェアとPC用OS全般に関連する競争状況には幾つかの進展があり、これは、Microsoftが作り出した反競争的・排他的障害によって妨げられることなくミドルウェア製品の間での競争を促進するとした最終判決の目標が達成されつつあることを示している」と述べている。

 その具体例として、MicrosoftのInternet Explorerと、MozillaのFirefox、Opera SoftwareのOpera、AppleのSafariなどのWebブラウザとの競合が激化していること、マルチメディアコンテンツを扱うAppleのiTunesやAdobe SystemsのFlashの人気上昇、伝統的にローカルアプリケーションが扱ってきた電子メールなどのアプリケーションでWebベースのサービスの利用が拡大してきたこと、DellとLenovoがWindowsではなくLinux OSを搭載したコンピュータの販売に乗り出したことなどを挙げている。

 「Microsoftが独占的市場シェアを違法に獲得あるいは拡大したとは見なされなかったという点から考えれば、最終判決はMicrosoftのWindowsの独占を排除したりWindowsの市場シェアを特定の数字だけ減少させることを目的としたものではなかった」と同報告書は主張する。

 「最終判決の目的は、Microsoftが抑圧していた競争状況を再び活性化させ、これらのソフトウェア製品の成功を市場が決定できるようにすることであった。最終判決はこの目標を達成しつつある」と司法省ニューヨークグループが提出した報告書は述べている。

 Microsoftは、同社が提出した報告書の中で、裁判所が認定した一連の反競争的商慣行は、最終判決に基づいて既に排除されていると主張し、それを証明するものとして、Webブラウザ、電子メール、オーディオ/ビデオプレーヤー、Java仮想マシンの各分野でのシェアの低下を挙げている(Microsoftの報告書全文はこちら、編注:リンク先はPDFファイルです)。

 しかしカリフォルニアグループは、「裁判所が課した是正措置の大半は2007年11月に期限切れになるため、Microsoftが市場支配力を悪用する能力に対する主要な拘束力が失われる」と指摘する。

 同グループはさらに、裁判所がMicrosoftに課した現行の5年間の同意審決期間よりも、標準の10年間の審決期間の方が適切であると提案している。

 「標準の10年間という期間が採用されなかったのは、コンピュータ業界では技術の変化が急速であるという理由によるものだ。しかしこの見解がコンピュータ業界全般にどういったメリットをもたらすとしても、この訴訟の争点であるPC用OSの市場に対しては著しく不適切である」と同グループは主張する。

 Microsoftは最近、Windows XPの後継製品としてWindows Vistaを投入しただけでなく、同社の市場支配力は「依然として弱まっていない。少なくとも過去15年間にわたって90%を超える市場シェアが続いてきたことがそれを示している。最終判決の期限切れはとりわけ、Microsoftが最近投入したVistaが市場に与える影響を原告が十分に評価できないことを意味する」(同グループ)

 このためカリフォルニアグループでは、次の共同状況確認会議において、この件の是正措置に関して裁判所がどのような変更を検討すべきかについて議論する覚悟だ」としている。

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