Sunが戦略ソフトでIBM、Googleと提携 それぞれの皮算用とはITトレンドの“眼”(1/2 ページ)

Sun Microsystemsが戦略ソフトの「Solaris」および「StarOffice」の展開において、IBMおよびGoogleと相次いで提携した。その背景にはそれぞれの思惑と「皮算用」が絡み合っているようだ。

» 2007年09月04日 07時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

 Sun Microsystemsがソフトウェア戦略において、このところ新たな展開を図っている。主力OSである「Solaris」の販売サポートでIBMと、またオフィス統合ソフト「StarOffice」(日本での製品名はStarSuite)の展開でGoogleと相次いで提携したのがそれだ。いかにもそれぞれの思惑と皮算用が絡み合っていそうなこの動き、今後のIT業界の勢力争いを占う意味でも大いに興味深いところだ。

POWER上でSolarisを動かす計画も

 IBMとSun の提携内容は、IBMがブレード型などの自社製x86サーバにSolarisを搭載できるようにし、サポートも協業体制を整備するというもの(関連記事)。大手のx86サーバベンダーの中で、SunとSolarisの販売サポート契約を結んだのはIBMが初めて。Sun以外の大手サーバベンダーで、Solaris対応のブレードサーバの提供を開始したのもIBMが初めてだという。

画像 SunのシュワルツCEO

 両社の提携の狙いについて、IBMのビル・ザイトラー上級副社長は「顧客に幅広いプラットフォームの選択肢を提供し、x86ベースのSolarisへの移行を支援するため」と説明。一方、強力な販路を手に入れたSunのジョナサン・シュワルツCEOは「IBMと協力することができて喜んでいる。IBMはSunにふさわしいパートナーだ」と、興奮ぶりが伝わってくるようなコメントを出した。

 実は、IBMはSolarisの採用を数年前から模索していた。この分野に詳しい業界関係者によると「IBMはx86ベースだけでなく、一時はSolarisを自社製プロセッサのPOWERにも移植する意向があったようだ」という。IBMがそこまでSolarisの採用に執着してきたのは、「Solarisを採用している顧客には今後の成長性も含めて非常に優良な企業が多い」(前出の業界関係者)からだ。つまり、IBMはSolarisベースの優良な顧客基盤を獲得したいというのが、今回の提携における皮算用といったところか。

 とはいえ、Solarisベースの大手顧客では、Sunの戦略プロセッサである「SPARC」を搭載したサーバを採用しているところが多い。当面はSPARCとx86でシステム規模によるすみ分けがなされるだろうが、そのうちオーバーラップしてくる可能性も大いにある。そうなると、SPARCベースでSunと共同戦線をとっている富士通の事業戦略にも影響を及ぼすことになる。今回のIBMとSunの提携はそんな波乱要素もはらんでいる。

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