携帯電話からリモートデスクトップを操作するモバイル機器からのネットワーク快適利用術(2/2 ページ)

» 2007年09月11日 09時01分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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 それでは実際にμVNCからPCにアクセスしてみよう。BREWアプリケーションを起動し、設定した接続先を指定して携帯電話の中央のソフトキーを押すと、「SSH login…」と表示され、パスワードの入力が求められる。ログインに成功すると、PCの画面が表示される。

 携帯電話からは、ディスプレイ上の十字ポインタとソフトキー(端末に応じて中央、左右の3つ)を利用して操作を行う。十字ポインタは携帯電話の十字キーで上下左右に動かすことができる。今回は下り通信速度が最大2.4MbpsのWIN端末(W44S)を使用したが、携帯電話ではPCの画面データを一定間隔で受信するため、画面スクロールは滑らかではないものの、キーを1回押すごとにワンテンポ遅れてPCの画面が移動する具合だ。1秒以上もかかるというほどではない。

 アイコンなどにポインタを当てて中央のソフトキーを軽く押すとマウスの左クリックに相当する操作となる。また、中央のソフトキーを長押しするとメニューが表示され、ドラッグ&ドロップ操作や画面の回転、スクロールと10キーでのテキスト入力の切り替えなどができる。また、左側のソフトキーを長押しすると指定アプリケーションの起動など、右側のソフトキーを長押しするとダブルクリックやタブ操作、「Ctl + Alt + Del」といった操作が可能だ。

 まずメール操作だが、今回の場合では受信メールの一覧を確認したい場合に表示サイズの設定によっては閲覧が難しく、最大表示の設定で画面をスクロールしながら件名や送信者などを確認する必要があった。本文全体の閲覧は上記の操作を踏まえて行えるが、文章全体を見るには最大表示の設定で画面スクロールを続けるほうが見やすいようだ。

受信箱の一覧状況はある程度の表示サイズでも確認できるが文字によっては表示がつぶれてしまう場合があり、最大表示ではスクロール操作を多用することになる

 Word文書も、閲覧する場合はメールと同様の操作が求められた。メールとワープロ文書のテキスト文字の入力は、携帯電話でメールを作成するのと同じような感覚で行えるため、事前に想定されたほど不便は感じられなかった。ただし、文字の入力位置を調節するにはスクロールモードとテキスト入力モードを切り替える必要があり、操作に慣れるまでには時間を要するだろう。

Wordでの文書入力例。携帯電話に入力した文字をそのままPCに反映させることができる。しかし長文の入力はユーザーによっては苦手になるかもしれない

 次にインターネットの閲覧だが、テキスト文字を多用するページではWord文書やメールのように拡大表示とスクロール操作を必要とするものの、画像データを多用しているページではあまり閲覧に不自由はしない。リンクをクリックする場合でも閲覧と同様にテキストリンクか画像リンクかによって、操作性は異なる。Webサーフィンを快適に楽しむようになるには、やはり操作への慣れが求められる。

ページ全体を閲覧するには2番目の大きさの表示設定でちょうどよいが、ITmediaの記事を読むには最大表示で画面を横向きに回転させると見やすい

 最後に動画の再生だが、こちらは毎秒1〜2コマ程度が限界であり、残念ながら視聴に堪えるものにはならなかった。これは画面情報を転送するリモートデスクトップの特性から事前に想定されたことだが、PCよりもハードウェアリソースが制限される携帯電話環境ではさらに厳しい。

動画は“パラパラマンガ”にならないほどのコマ数で動くだけだった。PCからPCへのリモート接続でも動きのある画面は苦手だが、携帯電話はなおさら難しいようだ

 今回の検証したのはPCで日常的に利用されるアプリケーションのごく一部だが、静的な画面の多いアプリケーションであればμVNCの操作に慣れることで、不自由なくリモートデスクから利用できる。一方で動画のように画面変化の多いアプリケーションは、PC以上にリモートデスクトップでの利用が難しい。

 BREW版のμVNCでは、ユーザーが自由に操作機能を設定できるため、好みに合わせた設定にすることで操作性を高められる。また、携帯電話とPC間で送受信されるデータサイズは、静的な画面で1分間当たり約120Kバイト、動画で同約300Kバイトになるという。BREWアプリケーションで1日に送受信できるデータサイズは原則として3Mバイト以内とされているため、μVNCだけを利用しても1日に操作できるのは10〜20分程度となるようだ。

 μVNCはデータ定額制に対応している。わずか数分間の利用でも数百Kバイトものデータが送受信されるため、できれば定額制を利用することをお勧めしたい。

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