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» 2007年09月27日 07時00分 公開

第1回 ビジネスインテリジェンスは誰のため?ビジネスインテリジェンスの新潮流 〜パフォーマンスマネジメント〜(1/3 ページ)

今再び注目を集める「BI:ビジネスインテリジェンス」。今までのBIと何が違い、BIで組織を変革するためには何が必要なのかを明らかにする。一回目は、「現場のためのBI」とは何かを探る。

[米野宏明(マイクロソフト),ITmedia]

ビジネスインテリジェンスブームの再来

 今またビジネスインテリジェンスブーム到来の兆しがある。ビジネスインテリジェンスは、調査会社のガートナーが発案した言葉と言われており、通常は「データ分析」を中心としたIT全般を意味する。略語はBI(ビーアイ)。最近は顧客先でもBIという単語で話が通じるようになっており、弊社でも案件数は確実に増えている。

 企業のコスト削減努力が一巡し、ようやく前向きな投資に向かいつつあるのだろうか。それともERPなど業務のシステム化がひと段落し、それらの持つデータの活用に目が向くようになったのだろうか。BIツールベンダー各社は続々と新しい製品ラインを発表、ERPなど異分野からの参入も目立ち、それらベンダー同士の合併も相次いでいる。

 過去にもBIブームがあった。データウェアハウス(DWH)、OLAP(オンライン分析処理)、データマイニングなど、BI関連テクノロジーの代表格であるこれらは、以前から存在する比較的「枯れた」技術だ。では今回のブームはその当時と何が違うのだろう? またどのように異なることで、前回のような単なるブームに終わらない「本流」になることができるのだろうか?

 今回から3回にわたる連載の中で、あるべきBIの姿を、特に利用者の視点から探ってみたい。

誰のためのBIなのか?

 まず、BIは誰のためのものなのかを考えてみる。誰がBIツールを使い、誰がその結果(アウトプット)を利用し、そして誰が今最も必要としているのか。

 過去のブームでは、BIは「経営者」と経営企画部門などの「企業内アナリスト」のためのものだった。アナリストがBIツールを使い、経営者がそのアウトプットを利用する。そのため、組織全体にわたるデータを統合した巨大なDWHと、さまざまな分析手法を組み込んだ統計解析ツール的BIがもてはやされた。

 これらのシステムには膨大なコストが掛かった。データベースのためのストレージと、非定型の計算を反復処理するためのCPUやメモリには相当な容量と性能が求められるが、当時これらのハードウェアはとても高価だった。統計解析ツール自体も、主に販売数量の少なさのためやはり高価だった。高給取りの経営者やアナリストが利用するツールだからこそ、そんな高額な投資も許されたのだ。

 ご記憶の方も多いだろうが、今で言うところの「見える化」ツールのような位置付の、派生形のBIツールが流行ったこともあった。エグゼクティブインフォメーションシステム(EIS)などと呼ばれる、経営者のための意思決定支援システムだ。しかし、その多くは失敗に終わる。

 EISを導入した経営者は、企業の状態をリアルタイムに把握することで、問題の芽を素早く発見し、迅速に修正し業績を改善することを期待した。しかし、EISで経営者ができたのは前半部分にすぎない。なぜなら、迅速な修正で業績を改善するのは現場の役割だからだ。EISが表示する結果だけ見ていても、現場での改善方法まで経営者が指示できるはずもなく、結局達成できていない結果に対して警告を発することしかできない。自分の業務目標が達成できているかどうかは、もちろん現場の当の本人が一番良く知っている。成果を上げるべき行動へのアドバイスもなく、能力が出せていないことのみを注意されるだけでは、むしろ逆効果だ。

 EISのようなツールのアウトプットの利用者は、本来は改善活動を行う現場の人間であるべきだった。もし、現場の従業員が組織横断の経営者的視点に立って、自らの現場の活動を部分最適ではなく全体最適のためにどう変わるべきかを判断できるようなシステムであったら、現場の行動は変わったはずだ。

 当時のITコストの高さではそれは難しかっただろうが、今ならできるかもしれない。しかし、同じ轍を踏まないように注意する必要がある。今導入しようとしている「見える化」ツールは、単なる経営者のための「成績管理」ツールとなってはいないだろうか?

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