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» 2007年09月28日 19時31分 公開

MSとFacebookの提携でネットバブルが復活か?

MicrosoftによるFacebookへの投資がソーシャルネットワーキングの将来に及ぼす影響について、アナリストらがさまざまな見解を示している。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 現段階ではまだ噂に過ぎないが、Microsoftが人気の高いソーシャルネットワーキングサイトのFacebookの株を5%取得する交渉に入ったとの報道(関連記事)を受け、業界の識者たちはインターネットバブルが再び起きるのではないかと憶測している。

 Ovum Researchのアナリスト、デビッド・ブラッドショー氏は、Microsoftが3億〜5億ドルに相当する株式を取得し、その結果Facebookの時価総額が60億〜100億ドルに達するようなことがあれば、ソーシャルネットワーキングベンダーが高評価額で次々に株式会社化されていく可能性が強まると話した。

 ブラッドショー氏は9月26日、「額があまりにも大きく、インターネット企業の時価総額が高騰していた時代に逆戻りしたような錯覚さえ覚える。両社の契約が成立したあかつきには、多くの企業が株式公開を検討し始めるだろう」とeWEEKに語り、社会もまた、新たなインターネットバブルを受け入れる準備が出来ていると指摘した。

 企業の評価額が青天井に上がり、予算が惜しみなく浪費され、ハイテクへの出資が加熱するあのインターネットバブルが、これから数年間にわたって再現されるかもしれないのだ。

 LinkedIn、Twitter、Bebo、Friendster、Diggなどのインターネット企業およびサイトに対する投資熱は、これらの企業の技術をエンタープライズ製品に組み込んでいきたいという野望にいずれ転化するだろうと、ブラッドショー氏は述べた。

 IDCのアナリストであるマーク・レビット氏によると、MicrosoftとFacebookの提携が成就すれば、Facebookのソーシャルコンピューティングツールの一部がMicrosoftの「SharePoint」に統合される可能性があるという。

 「Microsoftはコンシューマーインターネット分野に力を注いでおり、Facebookへの投資が、エンタープライズ分野における成果としてすぐに現れることはないと考えている。しかし、Microsoftが将来的にはFacebookの実績と技術をSharePointソリューションに取り入れ、ビジネス向けのソーシャルネットワーキングを実現しようと画策しているのもまた確かだ」(レビット氏)

 だがブラッドショー氏は、そうした限定的な構造を持つエンタープライズアプリケーションは、ベンダーにとっては非常に扱いづらいものだと注意を促している。

 カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くFacebookやLinkedInなどのソーシャルネットワークは、人材登用の活発化という点では成功を収めているものの、企業が自社で利用できる関連ツールを販売しようとしたベンダーは出てきていないのだ。

 また、ソーシャルネットワーキングをエンタープライズシステムに統合する際に生じるさまざまな困難とは別に、Facebook自身もいくつか問題を抱えていることが同氏の懸念材料になっていると、ブラッドショー氏は述べた。

 そうした問題の1つに、性犯罪者からの未成年保護に付随するプライバシー問題がある。さらには、Facebookの最高経営責任者(CEO)を務めるマーク・ザッカーバーグ氏が、かつてのルームメイトから知的財産を盗んだとして訴訟を起こされていることも気がかりだ。

 Gilbane Groupのアナリスト、ジェフ・ボック氏も、プライバシーにかかわる問題がFacebookの未来を脅かす恐れがあると話す。9月24日には、ニューヨーク州司法長官が未成年者ユーザーを性犯罪者から守る手だてを怠っているとして、同社を告発している。

 ボック氏は、インターネットバブル復活説も否定し、Facebookに対する関心の高さについて独自の理論を展開した。

 「Facebookの評価が上がっているのは、それがプラットフォームであり、インターネット上でコミュニケーションを取り合い、日々の大半をそこで過ごすネット住民の拠り所となりつつあるからだ。インターネットにおいては、場所や位置、プラットフォームや環境に多くの注目が集まり、一般市場でも極めて大きな価値を持ちうる優れたものが生み出されるという現象が、これまで何度も起こっている」(ボック氏)

 ソーシャルコンピューティングがエンタープライズ分野に浸透するには今しばらく時間が必要だと、ボック氏は述べている。FacebookやGoogleがマッシュアップによって大人気になったのは真実だが、だからといって、彼らの存在がソーシャルネットワーキングツールのエンタープライズ化を促進するわけではないという。

 IBMやEMCのエンタープライズコンテンツ管理プラットフォームやMicrosoftのSharePointは、まだソーシャルネットワーキングに対応しておらず、企業の中でソーシャルコンピューティングがどのように機能するのかもはっきりしないと、ボック氏は言う。

 さらに同氏は、企業は顧客と確固たる関係を築き、そのうえで顧客情報やサプライチェーンおよびバリューチェーンフローをリンクさせていく必要があると述べた。

 「これを管理するのに適したソフトウェアは、まだ存在しない。どの大企業もこうしたリンクを定義して管理しようとしているが、Google、Facebook、Amazonなどに、それを実現するだけのエンタープライズに関する知識があるとは思えない」(ボック氏)

 エンタープライズプラットフォームをソーシャルネットワーク化する力を秘めているのは、唯一IBMの「Lotus Connections」ソフトウェアくらいではないかと、ボック氏は話している。

 エンタープライズにおけるソーシャルネットワーキングツールの発展については、さまざまな意見が出されている。例えば、IDCのアナリストであるレイチェル・ハップ氏は、「ソーシャルネットワーキングは情報を選り分けることができ、オンライン上の情報は爆発的に増えている」ことに言及し、ソーシャルネットワーキングがエンタープライズ分野に進出する可能性は高いと、楽観的な見方を示した。

 ハップ氏は9月26日、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学で開催された「Emerging Technologies Conference」に参加し、eWEEKのインタビューを受けた。同氏はインタビューの中で、Cisco SystemsとIntelが、ソーシャルネットワーキングを利用して「検索機能を進化させ、情報を探したり、選別したりする」方法について話し合ったことを明らかにした。

 ハップ氏は、「両社はソーシャルネットワーキングを多様なアプリケーションの基本的なプラットフォームとしてとらえている」と述べ、自身が行った調査からも、デバイス企業がソーシャルネットワーキングアプリケーションやP2Pメディア配信技術をデバイスに搭載し、情報の流れをうまくコントロールしていこうとしていることが分かったと話している。

 一方ブラッドショー氏は、ソーシャルネットワーキングおよびコラボレーションに代表される今日のWeb 2.0分野の発展を見るに、「Facebookの成功はそうした潮流へ向かう第一歩に過ぎず、その勢いは今後さらに強くなる」と結論した。

 「長期的には、ソーシャルネットワーキングサイトはよりいっそうの進化を遂げると考えられる。できれば避けたい事態ではあるが、もしかするとその前に第二次バブルが弾ける可能性もある」(ブラッドショー氏)

 Burton Groupのアナリスト、マイク・ゴッタ氏は、業界は人々がソーシャルネットワーキングプラットフォームに求めているものをいまだに把握できずにいるが、ソーシャルネットワーキングが製品およびサービス配信モデルを変え、顧客およびコミュニティとの関係に影響を及ぼしていくことは十分にありえると分析した。

 では、やはりインターネットバブルがもう一度やって来るのだろうか。

 ゴッタ氏は、「こうした傾向はまだ始まったばかりで、現段階ではバブルに突入しかけているかどうか判断するのは難しい。だが、企業や組織のあり方を一変させるような、社会的、市場的、経済的な一大潮流が盛り上がりつつあるのは疑いようがない」と述べた。

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