拡大するWebコラボレーション市場(1/2 ページ)

MicrosoftがOffice Live Workspaceによって「ソフトウェア+サービス」戦略を強化する一方で、AT&Tはインターネットカンファレンス企業のInterwiseを買収する。

» 2007年10月09日 18時12分 公開
[Clint Boulton, Peter Galli ,eWEEK]
eWEEK

 大手ITベンダー各社は、顧客の要求とライバル企業との競争激化を背景に、インターネット上でコラボレーションツールを提供する取り組みを強化している。

 IBMなどの主要ベンダーやGoogleのような比較的新参の企業がひしめく市場で、MicrosoftとAT&Tといった既存の大手IT企業も領土獲得に向けた取り組みを進めている。

 ワシントン州レドモンドに本社を置くMicrosoftは、「Office Live Workspace」を通じて「ソフトウェア+サービス」戦略を強化する考えだ。Office Live Workspaceは年内に投入される予定で、ユーザーがオンライン上でドキュメントにアクセス、共有して共同作業を行うことを可能にする。だが落とし穴もある。自分のコンピュータにOfficeがインストールされていなければ、ブラウザで表示しているドキュメントを編集することはできないのだ。

 Microsoftの広報担当者は9月30日、米eWEEK編集部に次のように説明した――「Officeドキュメントを編集するにはMicrosoft Officeが必要だが、それがインストールされていなくてもWebブラウザ(Internet ExplorerとFirefoxがサポートされる)内でOfficeドキュメントを表示させ、それにコメントを付けることができる」。

 同広報担当者によると、自分のマシンにOfficeが入っているユーザーの場合、ドキュメントを編集するためにクリックすると、デスクトップ内にあるOfficeのバージョン(Office 2003とOffice 2007がサポートされる)にドキュメントがダウンロードされる。ドキュメントを編集して保存すると、変更内容がドキュメントのオンライン版に自動的に保存されるという。

 このサービスは年内のリリース当初は無償で提供される予定で、Microsoftでは現在、β版のテストに協力するユーザーの登録を受け付けている。当初、Office Live Workspaceには広告は含まれないが、いずれ含められる計画だ。広報担当者によると、同社は異なるデザインのテストも行っており、将来的に追加機能やサービスを有料で提供する可能性もあるという。

 Office Live Workspace製品は、プロダクティビティ分野における競争激化、ならびにGoogleなどのオンライン分野でのライバルによって自社の伝統的ビジネスモデルが脅威にさらされていることを、Microsoftが深刻に受け止めていることを示すものだ。Googleは「Documents」および「Spreadsheets」を提供している。IBMも、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションを作成、共有するための無償のソフトウェアツールスイート「Lotus Symphony」を発表した。

 Microsoftは当初、5000シート以上を導入している企業向けに、3種類のオンラインサービス(「Exchange Online」「Office SharePoint Online」「Office Communications Online」)を提供する予定だ。

 「このコネクテッドコンピューティングという新時代において重要なのは、人々および企業がインターネットのパワーと、クライアントおよびサーバソフトウェアの優れたインタラクティブ性と高いパフォーマンスの間でバランスを図れるようにすることである」とMicrosoftのビジネス部門のジェフ・レイクス社長は語る。「本日の発表により、クライアントとサーバソフトウェア分野における当社の深い経験と、広範なユーザーおよび彼らのユニークなニーズに合わせて柔軟なサービス製品を提供するという当社の強いコミットメントを結び付ける方向に大きな一歩を踏み出した」。

 「Office Live Workspaceはオンラインプロダクティビティ分野での脅威の増大に対する反応なのか」との質問に対し、Microsoftの広報担当者は、「Officeユーザーがどこからでも情報にアクセスし、自宅、職場あるいは学校にいるほかのユーザーとドキュメントを共有できるようにするために開発された」と答えている。

 既存のOffice Live製品は、「Office Live Small Business」というブランドに変更される。この名称変更は、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOが7月に同社のWorldwide Partner Conferenceで発表した。

 またMicrosoftは現在、個人ユーザー、ビジネスユーザーおよび仮想ワークグループをターゲットとした「Live」サービスと、高度なITニーズを持った大企業向けに同社のデータセンターで運用される「オンライン」サービスを区別化しようとしている。

 Microsoftのオンライン製品は、ユーザーがソフトウェアを入手する3つの手段の1つとなる。そのほかにも、ユーザー自身がソフトウェアを購入・運用するという方法と、Microsoftのパートナーを通じて提供されているホスティングサービスを利用するという方法がある。

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