革新の伝統に立ち返るFedora 8(2/3 ページ)

» 2007年10月31日 06時57分 公開
[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

ファイアウォールの設定

 Tomboyメモ用アプレットがトップパネル上にデフォルトで含まれるようになったことを除けば、最も注目に値する新機能はsystem-config-firewallだろう。Fedora 7のsystem-config-securitylevelツールではファイアウォールの設定が高レベルなSELinuxツールと一緒にまとめられていたが、それはファイアウォールについての経験があるユーザーに対してしか意味のあることではなかった。Fedora 8では、一見新しいFirewall Configuration(ファイアウォール設定)ダイアログが単にServices(サービス)ダイアログと一緒にまとめられただけのようにも思われるが、使い始めてみると、初心者に優しい警告やアドバイスが至るところに追加されていることが分かる。ただし、それらはくどくどとしていて英語の文法もあまり正しくない。

 残念ながらそれらのアドバイスは不完全であり、その結果ユーザーはOther Ports and Custom Rules(そのほかのポートとカスタムルール)枠内では結局自分の力を頼りに考え直す必要がある。ツールのウィザードについても始めに幾つかシステムの接続方法に関する基本的な質問をしてきたので期待が持てたのだが、ファイアウォールの項目のところで初心者か上級者かを選んだ後、何が変更されたのかについての情報がまったく告げられないままメインウインドウに戻ってしまいユーザーを立ち往生させてしまう。このツールは設定の難しい項目についてユーザーを手助けすることができるようになる可能性を秘めてはいるものの、Test 3の段階ではまだその可能性は実現していなかった。

Codec Buddy

 FedoraのCodec Buddy(別名Codeina)は、UbuntuのRestricted Drivers Managerやautomatic codec installに似たものだ。これらのツールはすべて、無料でダウンロードできても非フリーのライセンスの下にあるコンポーネントを含めるのは禁止するというフリーソフトウェアの倫理をプロジェクトとして優先したいという考えと、多くのユーザーはそのようなコンポーネントをとにかくインストールしたいと思っているという現実との間での妥協点を見い出そうとする試みだ。

 わたしはFedoraのフリーソフトウェア重視の考え方を支持しているが、その一方でCodec Buddyが現実をあまりにもしぶしぶ受け入れている様子をこっけいに感じてしまったことも事実だ。冒頭のメッセージでFedoraは次のように警告している。「Fedoraは、実装したり配布したりするのに特許ライセンスが必要なオーディオ/ビデオコーデックの使用を容認しているわけではない。……そのような特許の存在が原因となって、そのようなコーデックのフリーソフトウェア実装があなたの居住国では合法ではなかったり、あなたが再生したいファイルがフリーな形式で利用可能にはなっていない可能性がある」。

 前記のような小言を聞いてからでないと、FluendoのMP3オーディオコーデックをダウンロードできるサイトに行くことはできない――ただしありがたいことに次回からは表示しないように設定することが可能にはなっていた。また少しまぎらわしいことにCodec Installerは、無料でダウンロードできず、かつCodec Buddy経由で利用できないFluendoのほかの製品も幾つか表示していた。ライセンスを受け入れた後は、ダウンロードへと進むことができるが、Codec Buddyは重要な点――すなわち、コーデックを実際にインストールするためにはSELinuxを「Permissive」に設定する必要があるという点 ――を告げることを忘れていた。

 コーデックインストーラの数が増えてきているが、そこまで取り組みむだけの価値があることなのか、またコーデックインストーラを利用するのではなくFedoraの非公式な非フリーレポジトリであるrpm.livna.orgからLAMEパッケージをインストールする以上のプラスがユーザーにとってあるのか、ということに関してわたしは疑問に感じている。

 またそのような機能的なことはさておき、そもそもFedoraのようなコミュニティーディストリビューションとFluendoのような一企業との特殊な関係を持ち込むことは多くのユーザーを不安な気持ちにさせる可能性のあることだろう。Codec Buddyのような類いのものがほかのディストリビューションでも普及するかどうかはまだ分からないが、フリーソフトウェアについての議論を幾らか引き起こす可能性があるのではないかと思う。

関連キーワード

Fedora | Java | カーネル | コミュニティー | Linux | Red Hat


Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ