シビアなファイルサーバ環境に立ち向かえ!ファイルサーバ管理の地獄

ファイルサーバを取り巻く環境はシビアだ。爆発的なデータ容量の増大、拠点や部署での乱立――システム管理者は頭を抱えたくなることだろう。ますますデータが増えてしまう前に手を打っておきたいところだが、その解決の糸口を東京エレクトロン デバイスが開催したセミナーから探ってみよう。

» 2007年11月05日 10時00分 公開
[ITmedia]
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 システム管理者にとってデータ増大への対応は頭の痛い悩みだ。米IT調査会社IDCの調べによると、企業のデータは年率57%の勢いで増加。ここ最近は、非構造化データと呼ばれる画像やExcel、Wordといったファイルの増大傾向が著しく、企業のファイルサーバを取り巻く管理は厳しくなっている。

 日本企業約300社を対象に行った調査でも、約60%の企業がファイルサーバのデータの伸び率は30%と答えている。半数を超える企業が3年でファイルサーバの容量が倍になる計算だ。だが、残念なことに管理者の増員予定のある企業というのは少ない。ファイルサーバの管理は、まさに“do more with less”という悲惨な状態が予想される。これを解決するソリューションはないだろうか?

photo ブロケード コミュニケーションズ システムズ システムエンジニアリング統括部の和田明史氏

 10月18日、東京エレクトロン デバイスは「ファイル仮想化で実現する次世代ファイルサーバ統合管理セミナー」を都内ホテルで開催。ブロケード コミュニケーションズ システムズ システムエンジニアリング統括部システムエンジニアの和田明史氏が、グローバルネームスペースがファイルサーバにおける課題解決の手がかりになると講演した。

 グローバルネームスペースとは、複数のファイルシステムを論理的に1つのファイルシステムのように見せることができる技術だ。NASやファイルサーバと、ユーザーアクセスの間に仮想化レイヤを挟むような効果があり、物理的なファイルサーバを切り分けた管理を可能にする。

 「通常は物理サーバと共有名が1対1の関係で結び付いているが、このアクセスを論理化して物理サーバとアクセスの関係を切り離す」と、和田氏は説明する。

 通常、ファイルサーバを利用する場合、エンドユーザーは物理的なファイルサーバの位置を示すドライブレターをPCに割り当て、これを頼りにファイル共有を行っている。しかし、グローバルネームスペースを活用することで、ユーザーは逐一このような物理的なファイルサーバの位置を意識して利用する必要がなくなる。Webの世界でユーザーがIPアドレスを意識せずにアクセスできるのと同様に、グローバルネームスペースがDNSのように動作し、ファイルの格納場所を意識することなく目的のファイルへのアクセスを導いてくれる。

image ファイルサーバへの論理的なアクセスを提供するグローバルネームスペース

 このグローバルネームスペースのメリットは、ユーザーの使い勝手の向上だけではない。むしろ、管理面での効率化を図ることで複雑なファイルサーバ環境全体を把握し、最適なファイルサーバ運用を可能にする点に大きな価値がある。前述のとおりグローバルネームスペースは、ユーザーアクセスと物理的なサーバを切り離し、適切な場所にユーザーのアクセスを案内してくれる。そのため、管理者はファイルサーバを利用するユーザーに与える影響を考慮すること無く、サーバ側の管理を行えるようになるのだ。

ファイルサーバ統合の道筋を付ける「Brocade Storage X」

 ファイルサーバやNASはその低価格化と容易さで、各所で設置が進んできたが、バックアップやセキュリティの問題などを考えると、これを統合し、管理の一元化を推進したいところだ。だが、サーバが乱立した結果、共有も複雑化しており、ファイルサービス環境を仮想化せずにサーバの移行や統合に着手すれば、ユーザー部門に与える影響は大きい。

 和田氏は「グローバルネームスペースにより、ユーザーを意識せずにサーバの追加や移行作業を行うことが可能だ。また、サーバが何台あっても、バックアップ単位を分割しながら適切なコストで作業を行えるようにもなる。仮に障害が発生した場合にも、1つのアクセスパスで複数のサーバを参照できるため、アクセス可能なサーバを参照させてダウンタイムを減らすことができる」と、解決の糸口になることをアピールする。

 ブロケードの提供する「Brocade Storage X」は、こうしたグローバルネームスペースを容易に構築・管理できる、管理者に役立つ機能を多数備えている。分散ファイルシステム(DFS)をグローバルネームスペースの階層ごとに管理できる管理インタフェースを備えており、ドラッグ&ドロップの直感的な操作が可能だ。また、ポリシーベースでのデータ移行やレプリケーション、空き容量のあるサーバへ共有を割り当てるといった柔軟な管理もできる。

 複数サーバから複数サーバへ(M:N)のデータ移行を行うことができ、データコピーが終了すれば、DFSリンクが自動変更される。そのため、ユーザーはデータの物理的な保存場所が変更されても、それを意識しないで移行後のサーバに保存されたデータへアクセスできるようになっている。コピー自体もブロックレベルの差分で行われるため、消費帯域を抑えられる。

 さらにレプリケーション機能を使えば、ファイルサーバの障害対策や災害対策としても有効だ。もちろん、遠隔サイトのファイルサーバにユーザーアクセスが変更になっても、グローバルネームスペースがそれを意識させることはない。

Brocade Storage Xでファイルサーバの運用を一元化

 和田氏によると、既に欧米では「Brocade Storage X」のこのような機能を生かしたファイルサーバ管理が進んでいるという。

 米国のある食品会社では、拠点ごとに導入したファイルサーバを各拠点でバックアップ運用するということになっていた。そのため、中央からはそれが正しく行われているか把握できないという問題を抱えていた。さらに、それらファイルサーバはバックアップ機のないスタンドアローン構成で運用されており、トラブルがあれば中央から管理者が駆け付けなければなかった。しかも、本社はテキサス州プラノ、データセンターはオクラホマ州のタルサと、直線距離で400キロも離れている。データセンターと拠点をつなぐWAN回線も細く、性能的にサーバ統合をするのは難しいといった状況だった。

 そこで、同社はBrocade Storage Xを導入。各拠点に新たに導入したセカンダリーサーバとの間で複製し、さらにデータセンターへも遠隔レプリケーションすることを考えた。これにより、バックアップ作業などを中央で一元化でき、拠点のファイルサーバの可用性も確保したというわけだ。

image Brocade Storage Xで拠点のファイルサーバにコントロールを取り戻した米食品会社

 「このようにファイルサーバが抱えている課題は、ファイルの仮想化によってかなり解決できる。ただ、OS標準のツールでは不十分だ。Brocade Storage Xのような支援ツールを利用することで、ユーザの利便性を確保しながら、管理効率を飛躍的に向上することができる」と和田氏は言う。

ファイルサーバ統合でデータセンターのデータ容量が3倍に

 Brocade Storage Xなどを用いてファイルサーバが中央に統合されると、新たな課題も出てくる。中央のデータセンターのストレージ容量が一挙に膨れ上がるのだ。データセンターの容量は統合前の3倍になったという事例もあるほどだ。それほどまでに容量が膨らんだ中央のデータをどのように管理すればよいのだろうか? 和田氏に続いて、東京エレクトロン デバイスCN事業本部ストレージ事業部ストレージ営業部の森谷浩明氏が統合化されたファイルサーバの最新のバックアップ手法を紹介した。

photo 東京エレクトロン デバイス ストレージ営業部の森谷浩明氏

 現在、ストレージベンダーは急激なデータ増大に対応する管理アプローチを拡充しており、データ圧縮やデデュープ(データ重複排除)といった技術を備える製品が登場している。ストレージソリューションで定評のある東京エレクトロン デバイスでは、そのような最新製品を取り扱っている。

 その1つであるStorwize(ストアワイズ)は、リアルタイムデータ圧縮と呼ばれる技術を提供するネットワーク機器だ。ストレージの手前に設置して、通過するパケットのペイロードをリアルタイムで圧縮し、圧縮したデータをNASなどのストレージに格納。データを読み出す際にはStorwizeが圧縮したデータを伸長して提供するという動作をする。プライマリーストレージに圧縮データを格納するという新しいアプローチを提案している製品だが、ファイルすべてのデータが届く前に圧縮処理するため、通信のパフォーマンスに影響を与える心配もほとんどない。

 CIFS、NFSの両ファイルプロトコルをサポートしており、ランダムアクセスにも対応することでデータベースなどのアプリケーションの足回りにも設置できる。また、「ストレージに届くデータは圧縮されているため、ストレージ自体のシステム負荷が下がり、パフォーマンスが向上する」(森谷氏)という副次的なメリットも見られるという面白い製品だ。

同じデータを重複保存しないデデュープ技術

 バックアップデータを圧縮するという手法は従来からとられてきたデータ管理手法だが、最近では同じデータを2度書き(重複保存)しないデデュープと呼ばれる技術を備えたバックアップ専用ストレージも登場してきている。Data DomainのCOS(Capacity Optimized Storage:容量最適化ストレージ)は、この手法でバックアップデータを削減、ストレージにかかるコストを節約する手段を提供してくれる。

 「デデュープ技術によりデータ量が激減するため、リモートサイトへのレプリケーションも低帯域で行えるようになる。回線コストを抑えながら災害対策システムを構築することも可能だ」(森谷氏)


 データ容量が増大する中、バックアップ手法も時代にあったものへと進化している。最新のデータ管理ソリューションで、ファイルサーバのデータ増大に早期に手を付けてみてはどうだろうか?

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ファイル仮想化が企業のファイルサーバを救う!Brocade StorageXによるファイルサーバ統合管理

ファイルの増加によって社内の至る所に乱立し、運用・管理が困難になりつつあるファイルサーバ。それらの信頼性、可用性、拡張性への対策を効果的かつコスト効率よく行うには、ファイルの仮想化が不可欠である。

 多くの企業では、保有するファイルの爆発的な増加をうけて社内の至る所でファイルサーバやNASアプライアンスが導入された結果、分散した複数拠点のデータ管理が大変複雑で困難になっている。このような状態では、災害など不測の事態が発生した場合の事業継続も容易ではなく、ビジネスに重大な影響をもたらす可能性がある。

 ファイルサーバが抱える、

  • 企業内に無秩序に増える資源
  • ファイルサーバの障害がもたらす業務の停滞や機会損失の増加
  • 大容量化に伴う障害からの回復に要する時間の増加
  • 増えない(増やせない)管理者の数

といった問題を解決するには、ユーザーのアクセスを物理サーバから切り離して管理できるファイルの仮想化が不可欠である。

 本資料では、ファイルデータ移行作業を大幅に短縮し、ファイル仮想化によって全社的なファイルサーバ統合管理を実現するBrocade StorageXについて、事例を交えて説明する。

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提供:東京エレクトロン デバイス株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年12月4日