ニュース
» 2007年11月12日 18時12分 公開

Vistaへのアップグレードを急がない企業ユーザー

新しいハードウェアのコストやソフトウェアの互換性問題をめぐる不安、そしてXPのメリットなどが、企業ユーザーにVistaへの移行をためらわせているようだ。

[Peter Galli,ITmedia]
eWEEK

 Windows Vistaの企業向けリリースから間もなく1年を迎えようとしているが、この新OSへのアップグレードをまだ見合わせている企業は多い。

 その理由として主に挙げられているのが、Vistaを最適状態で動作させるのに必要な新しいハードウェアに入れ替えるためのコスト、これらの企業で使っているソフトウェアの一部がまだVistaと互換性がないこと、Vistaの新機能や改良されたセキュリティ機能がトラブルの原因になっていること、そしてWindows XPでも現在のビジネスニーズにまだ対応できることなどだ。

 Directions on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏は、「多くの企業は、Vistaは新しいハードウェア用には適しているが、既存のハードウェアのアップグレード用としては適していないと考えているようだ。わたしは、Vistaの導入はハードウェアの更新時期が来るまで待ち、更新時にVistaをプリインストールしたマシンを購入すればいいと企業ユーザーにアドバイスしている」と話している。

 ニューヨークにある建築事務所、Pei Cobb Freed and PartnersのITディレクター、ジョージ・ポドラック氏もその方針だ。同社の最新のノートPCについては、Vistaがプリインストールされたものを購入したが、ポドラック氏はWindows XPで満足しているという。

 「われわれはWindows XP SP2で仕事をするのにとても慣れており、XPは非常に安定しているため、機能的に明白なメリットが感じられない新OSに全面的に移行するというのは考えられない。デスクトップの仮想化など、ほかにも関心があることがたくさんある」とポドラック氏は話す。

 MicrosoftのWindowsクライアントチームのシニアプロダクトマネジャーを務めるマイケル・バーク氏も、企業でのVistaの普及はまだ初期段階であることを認めている。

 「Windows XPが企業で利用される主要OSとして普及するのに何年もかかった。VistaがXPに取って代わるのには時間がかかるだろう。とはいえ、主要企業でのWindows Vistaの普及が始まる転換点に近づいていることを示す兆候は幾つかある」とバーク氏は語る。

 Microsoftのクリス・リデルCFO(最高財務責任者)が最近明らかにしたところによると、Vistaはこれまでに8500万本以上売れたが、これに比べてWindows XPは、リリース後の同じ期間中の販売本数が4500万本だったという。

 しかしすべてのユーザーがVistaにアップグレードできるわけではない。ワシントン州タコマとシアトルのオフィスに65人のユーザーを抱える法律事務所、Eisenhower & Carlsonでただ一人のITスタッフであるボブ・ウィリアムソン氏は、DesktopStandardの「Policymaker」というグループポリシー用拡張機能を利用している。

 Microsoftは昨年、DesktopStandardを買収し、製品開発はその時点で中止になったようだ。「最後のバージョンでもVistaをサポートしていない。これは残念なことだ。このためわれわれは、Vistaが組み込まれていないノートPCとデスクトップを購入せざるを得ない」とウィリアムソン氏は話す。

 250台の従業員用マシンを運用している宝石製造販売会社、Riddles GroupでITディレクターを務めるグレッグ・シューマーカー氏は、自分のデスクトップとノートPCでVistaを試した結果、Vistaへのアップグレードを急がないという結論に達したという。

 それどころか、シューマーカー氏はVistaで多くの問題に遭遇して、ひどい目に遭ったため、自分のマシンをWindows XP Professionalに戻してしまった。

 「Vistaへの移行はできるだけ先送りするつもりだ。新しいハードウェアが必要になるのに加え、われわれが使っているソフトウェアの多くが現時点でVistaに対応していないからだ」と同氏は米eWEEKの取材で語っている。「また、ITメンテナンスという観点で言えば、マシンを最新状態に維持できるようにするには、ほとんどのセキュリティ機能を無効にしなければならない。このため、われわれは今後もできるだけ長い間、XP Proを搭載したマシンを購入し続けるつもりだ」。

 シューマーカー氏のような企業ユーザーからの不満に対応すべく、Microsoftは既にOEM/小売りパートナー各社に対し、従来の期間を5カ月間延長して2008年6月30日までWindows XPの販売を続けることを許可した。

 この動きに先立ち、数社のOEMおよびPCメーカーが、顧客が新しいVistaマシンをWindows XPにダウングレードできるようにするという決定を行った。

 しかし必ずしも悪いニュースばかりではない。Directions on Microsoftのチェリー氏によると、かなり多くの企業がVistaの評価を始めようとしているという。最初のサービスパックのリリースが迫ってきたことで、それに基づいて評価を行うことができるからだ。

 Microsoftでは、2008年1〜3月期にVista SP1を製造工程向けにリリースする予定だとしている。

 「SP1のリリースに伴い、多くの企業が評価を行うと予想される。Vistaに価値があると企業が判断すれば、導入が増える可能性がある」とチェリー氏は話す。

 Enderle Groupのアナリスト、ロブ・エンダール氏によると、Vistaの最初のバージョンでは問題を報告した企業もあるが、SP1に関する初期報道は、こういった問題の多くが解決されていることを示しているという。「SP1がテストでも優秀な結果を示せば、2008年には企業での普及が加速するだろう」と同氏は語る。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -