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» 2007年11月19日 08時00分 公開

初心者歓迎! ITIL連載講座:ビジネスに対するITの貢献度を証明――ITサービス財務管理 (1/3)

いよいよ、本連載も最終回。今回は「ITサービス財務管理」について開設する。

[谷誠之,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「運用管理の過去・現在・未来」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


ITサービス財務管理プロセスの役割】

 ITサービス継続性管理の目的は、プロバイダが、ビジネスに必要なITサービスのコントロールを、高い費用対効果をもって行うことにある。また、ITサービスに必要なコストを明確化し、ビジネスが必要としているITサービスを継続的に提供するのに必要な費用を確保するとともに、顧客やユーザにITサービスにかかるコスト意識をもたせたり、場合によってはそのコストを適切に負担させたりする役割も担う。

 今までの連載の中でも何度か述べているが、ITILをコストの観点から見た場合、ITILの目標は決して「コスト削減」ではない。コスト削減を目標にしてしまうと、本来必要なコストまでも削減してしまう危険性も出てくる。重要なのは、コストの最適化である。具体的には、次のようなことが必要になってくる。

  • ITサービスを提供するために必要なコストを明確に算出する
  • IT資産を適切に管理し、費用対効果の高いサービス提供を行う
  • ITサービスを受ける顧客に、適切にコストを按分する
  • IT資産に対する変更に必要なコスト情報を顧客に提供し、顧客の意思決定を支援する

 そのためには、根本的な意識改革が必要である。すなわち、IT運用部門を企業内のコストセンター(間接部門)としてとらえるのではなく、ビジネスに必要な価値(ITサービス)を提供するプロフィットセンター(直接部門)としてとらえることが肝要である。

 だが実際は、IT運用部門、すなわちプロバイダをコストセンターとして扱っている企業がほとんどである。しかしIT運用部門をコストセンターとして扱うと、さまざまな弊害が出てくる。

 まず、IT運用部門側に、提供しているITサービスとそれにかかるコストとの説明責任が希薄になり、コスト意識が薄れてしまう可能性が挙げられる。「ビジネスを遂行するのにどの程度のITサービスが必要か」ということと「そのITサービスを提供するためにはどの程度のコストをかけることが妥当なのか」ということを常に意識する必要がある。IT運用部門は、運用の費用対効果を正当化するための客観的な論拠を持たなければならない。

 次に、顧客側、すなわちITサービスの提供を受ける側のコスト意識が希薄になる危険性がある。定期的に一定のコストがかかっているITサービスに対して「使わなければ損だ」という意識が芽生えると危ない。その意識が講じて、実際のビジネスに不要な機能を要求したり、オーバースペックとなるような変更を期待したりしてしまう可能性がある。そのITサービスを使うことでどれだけの価値を受けているのか、その価値を享受するためにはどの程度の費用がかかっているのか、ということが理解できていないと、ITサービスに費用対効果を求めることができなくなってしまう。

 最後に、ITサービスに対する適切なコストの算出が難しくなる。ITサービスがビジネスを支えるためには実際にはこれだけの費用がかかるのに、コスト削減を優先してしまうがために必要な予算を確保できず、結果的にITサービスが適切にビジネスを支援できずに「使えないIT」と思われてしまうのは不幸である。逆に、費用を単純に昨年比などで適当に算出してしまい、無駄な金食い虫という指摘を受けてしまうのも不幸である。

 費用対効果を追求するには、高いコスト意識が必要不可欠である。高いコスト意識を持ち、必要な費用の具体的な金額を正当に算出し予算化するには、ITサービス財務管理が必要不可欠なのである。

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