Webサービスの基礎知識Beginner's Guide(6/7 ページ)

» 2007年12月15日 03時47分 公開
[Shawn-Hermans,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

ポリシー

 WSDLはWebサービスの動作やバインディングを記述するもので、セキュリティやサービス品質など、機能面以外の制約は十分に記述できない。WS-Policyは、Webサービスのポリシーを記述するための全般的な枠組みである。また、WS-SecurityやWS- ReliableMessagingなど、ほかのWS-*規格には、それぞれの要求に関連したポリシー文書が用意されている。同じように、それぞれの組織でもWS-Policyの枠組みを使って標準でない独自のポリシー文書を作成できる。WS-Policyの利用により、各組織のWebサービスに対するバインディングの必須およびオプション要求の公表が可能になるわけだ。

オーケストレーション

 Webサービスは完全なアプリケーションであるとは限らず、より大規模なアプリケーションの一部になっていることもある。Webサービスをより大きなプログラムのサブルーチンの1つと見なすと、いろいろな点で都合がいい。何か役に立つ機能を提供するには、複数のWebサービスを組み合わせて複雑なタスクを実行できるものが必要だ。開発者は一般的なプログラミング言語を使ってWebサービス同士を結合できる。あるいは、Webサービスのオーケストレーション言語を使うことも可能だ。

 WS-BPEL(Web Services Business Process Execution Language)は、複数のWebサービスから複雑なタスクを組み上げるXMLベースのオーケストレーション言語である。BPELは一種のスクリプティング言語と見なせるが、Webサービスを念頭において作られている。開発者はBPELスクリプトを作成して、その結果をオーケストレーションエンジンで実行する。なお、BPELスクリプトはベンダーの実装に依存しないものにする必要がある。そうすれば、オーケストレーションエンジン間での移植が可能になる。

 BPELスクリプトを容易に作成できるグラフィカルモデリングツールが幾つか存在することも、WS-BPELの強みだ。最低限の知識がある業務アナリストは、それらのツールを使って業務プロセスのモデリングを行ったり、モデルから実行コードを生成したりできる。今後、こうしたツールは、技術的な知識がない業務アナリストでも新たなアプリケーションを作成できるほどに進化していくだろう。

エンタープライズサービスバス

 エンタープライズサービスバス(ESB:Enterprise Service Bus)は、Webサービスの領域を超えた概念である。標準規格の集まりというよりも、広い範囲にわたるテクノロジーの実装を指す用語といえる。ESBを支える基本的概念には、メディエーションとルーティングによる種類の異なる分散アプリケーションの統合が含まれる。ESBによって加えられるのは、共通に必要な機能であることが多い。一般的なサービスでサポートされる機能としては、WS-*規格群、ロードバランシング、高度なメッセージルーティング、トランスポート層プロトコル間の変換、メッセージフィルタリング、業務プロセス管理、ログ記録、監査、高度なエラー処理がある。

関連キーワード

Webサービス | SOAP | XML | 標準 | SOA | Beginner's Guide


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