ボーナスの行方を決めた1通のエラーメール女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2007年12月21日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

居心地悪し? 熟練者のメーリングリスト

 その一方、もともと本社側で作業をしていた担当者たちは、慣れた手つきでクールに作業に徹していた。わたし以外は、みんなここで数年のキャリアを積んでいる熟練者ばかり。ユーザーが多かろうが少なかろうが、「システムを正常に動作させることが自分の仕事」と悟りの境地に達していた。わたしもそんな周囲に早く追いつかなければと、毎日かなり肩に力を入れて過ごしていた。

 そんなある日、わたしの個人のメールアカウントがサーバの管理情報を共有するメーリングリストに追加された。登録メンバーは10名程度。わたしたちに運用を委託している親会社の情報システム部の担当者、そして実際に運用に当たっているわたしたちの会社のメンバーとその上司だった。このメーリングリストは、サーバを監視しているシステムからの通知以外に、運用側と親会社の担当者との連絡用にも使用される。

 イレギュラーなユーザー対応の相談や各ソフトウェアメーカーとの契約状況の確認依頼など、その用途は完全に仕事だけに偏っていた。普通であれば、そういう種類のメーリングリストであっても、年末のあいさつや誰かが体調を崩していたりすると、それっぽいメッセージが入ったりすることもあるが、このメーリングリストは、親会社と業務を委託されている子会社の一線を越えることなく、淡々と仕事のやり取りに使われた。

 それまで、拠点でユーザーべったりの人情の世界にいたわたしには、この冷たさが何とも居心地が悪かった。まあ、本社とはそういうものかと割り切ってそんなビジネスライクな職場に慣れてきたころ、不思議なメールが飛び込んできた。

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