ボーナスの行方を決めた1通のエラーメール女性システム管理者の憂鬱(3/4 ページ)

» 2007年12月21日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

突然舞い込んだ見積もりメール

 それはボーナスの支給を間近に控えた、何の変哲もないウィークデーだった。そのころは、もう社内中が半年に1度のまとまったお金を何に使うか、ボーナスの話題で持ちきりだった。

 わたしもあそこのブランドの新作バッグを買うか、それともソファを買い換えるか、1日中、みけんにしわを寄せて真剣に悩んでいた。でも、平日は残業でなかなか買い物にも出かけられず、休日が来るのを待ち遠しく思っていた。そんなふわふわとした気分で仕事をこなしているところに、「見積もりの件」と題されたメールが舞い込んできたのだ。

 「えっまだ何を買うかも決めていないのに見積もりって、何で?」

 不思議に思って送信者を見ると、まったく身に覚えのない会社だった。新手の詐欺だろうか。注意しながらメールを開くと、どうやら自動車販売会社のようだった。別に車を売りつけようとしているのではなく、どうやら何かの問いに対する回答のようだった。よくよく見ると、件名には「Re:」まで付いている。

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 「アドレス間違いかな?」と思ったところで、宛先に目が止まった。そのアドレスにわたしの目はくぎ付けになった。な、何と、あのメール管理用のメーリングリストのアドレスがそこに表示されているではないか。訳が分からず固まっていると、わたしの周囲のあちこちでも「あれ?」という声が上がっていた。メール本文にはあて名はなかったが、本文の最後に決定的な一言があった。

 「それではAさんのご都合のよろしい日をご連絡ください」

 ええー、本社側の担当者ではないか。週に1度の打ち合わせでも余計な話は一切せず、開発担当者と運用担当者に冷静に指示を出すあの人物だ。その人あてのメールが、なぜメーリングリストあてに来ているのだろう。

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