まさかのファイル消失時にユーザーを危機から救うMagic RescueLeverage OSS(2/2 ページ)

» 2008年02月18日 13時43分 公開
[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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Magic Rescueの実行手順

 Magic Rescueのmanページを見ると、その使用前には「hdparm -d1 -c -u1 /dev/device」というコマンドを実行して、メモリへの直接アクセスを可能にしておくことが推奨されている。このコマンドは絶対に必須という訳ではないが、実行しておくと処理完了までの所用時間を大幅に短縮できる。ただしMagic Rescueのパフォーマンス調整としては、コマンドパラメータ形式(後述)で検索設定を変更する方が扱いやすいかもしれない。

 Magic Rescueを実行するには、最低でも回収用ディレクトリとレシピを指定しておく必要がある。コマンド指定の基本形は以下のとおり。

magicrescue -d directory -r recipe device

 具体的には「magicrescue -d /mnt/external -r /usr/share/magicrescue/recipes/zip /dev/sda1のような指定になる。複数のファイルフォーマットを一括で検索させたい場合は、該当するレシピ群を収めたディレクトリを指定すればいい。

 実行結果の記録を残したければ- M i0オプションを指定しておくことで、処理された入力および出力ファイルをすべて確認できる。

 -b blocksizeパラメータを指定すると、指定ブロックサイズの整数倍から始まるファイルだけに検索対象を制限させることができる。manページの説明では、通常のケースではブロックサイズを512としておけばいいとされている。

 16進数の扱いに慣れているユーザーであれば、パーティーション上の検索位置を-O = positionというパラメータで直接指定することもでき、同じく検索開始位置の-O + positionによる後方移動および-O - positionによる前方移動も行える。この-Oパラメータが役立つのは、長時間におよぶ検索をCtrl-Cで中断させた場合で、中断地点を別途控えておけば、後からO =を使用することで検索中断位置から処理を再開できるのである。

検索終了後の処理に役立つユーティリティ

 Magic Rescueの検索結果は、これらを処理する2つのサポート用ユーティリティが/usr/share/magicrescue/toolsに用意されている。例えば「dupemap delete,report resultdirectory」というコマンドを実行すると、回収用ディレクトリにある重複ファイルを自動で削除できる。また最初に複数のディレクトリに「dupemap report -dfile」を実施してファイルをデータベース化しておいてから、-dfileという指定でこのコマンドを実行すると、システム上にあるファイルを一括で削除できる。

 また「magicsort resultdirectory」を実行すると、ファイルコマンドを使用して、ディレクトリ中の重複していないファイルだけを別ディレクトリに移動ができる。

そのほかの復元ツール

 Magic Rescueのmanページには、「Magic Rescueはファイルリカバリの汎用アプリケーションを意図したものではありません。アクセスできなくなったファイルシステムから特定タイプのファイルを一括で抽出する場合は役立ちますが、そのほかのケースに関してはより適したツールが存在しています」という内容の免責条項が記載されている。ここで推奨されているツールとは、正常なパーティーションを処理する場合はgpart、ダメージを受けていないパーティーションの場合はThe Sleuth Kit(サポートするパーティーションの種類には制限がある)、Magic Rescue用のレシピが存在しない場合はForemostである。

 またmanページでは触れられていないが、GNOMEバージョンのMagic Rescueとして開発初期段階のGRescueも存在している。

 これらがいずれも有用なツールであることに間違いはないが、むしろmanページにある先の免責条項そのものがMagic Rescueの能力を不当に低く評価しすぎているというべきだろう。確かにほかのプログラムには豊富なオプションやユーティリティが用意されているものの、正常なファイルシステムであろうが損傷したファイルシステムであろうが、ファイルリカバリという処理そのものは、必要なレシピさえ手元にあればMagic Rescueだけで満たせるはずなのである。

Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿している。


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