「右脳的」に画像検索を行うビジュアル・コンテクスト・サーチ

観光写真サイト「Viewサーチ北海道」では、目的の画像を俯瞰的・直感的に探すことのできる検索システム「ビジュアル・コンテクスト・サーチ」による検索サービスが提供されている。

» 2008年02月19日 08時00分 公開
[横田貴司,ITmedia]

 データクラフトが運営する北海道の観光写真サイト「Viewサーチ北海道」では従来のキーワードとタグ付けによる分類とは異なるアプローチによる画像検索サービスを提供している。同サイトでは、北海道を拠点に活動するカメラマンによる風景写真約2万点を公開しているが、これらを色使いで分類し、俯瞰的に表示することでユーザーの感覚に合わせて、イメージに合わせた画像を探すことができる「ビジュアル・コンテクスト・サーチ」による画像検索を提供している。開発に携わったソフトフロント取締役会長、村田利文氏は、この画像検索方法を「既存の検索エンジンと競合するものではなく、新しい領域の検索」だと語る。

ソフトフロント取締役会長 村田利文氏

 ビジュアル・コンテクスト・サーチは、タグ付けの限界を回避することをコンセプトの1つとしている。画像に付けられたタグが適切なものかを客観的に判断するのは難しく、また適切なタグが付けられていたとしても、膨大なデータの中から目的のものを見つけるにはある程度の検索リテラシーが求められる。同サイトでは画像の類似性に基づいて自動的に分類することでこの問題を解決している。

 また、従来のように次々と候補を提示する方法とは異なり、同サイトのインタフェースは人間の情報処理能力に合致した見せ方をすることで、より多くの情報を同時に処理することを可能にするという。

1.色味で分類されたサムネイルが3次元で表示される。画像は任意に拡大・縮小できる。
2.画像を拡大しところ。周囲の画像も表示されるため、多数の画像を同時に見られる。
3.画像をクリックすると平面上に並んだ状態で表示される。上下左右にスクロールさせ、隣接する画像を連続的に見ることもできる。

 「人間の目に、多量の画像をある程度整理した状態で同時に見せると、ひとつひとつを吟味するよりも大幅に素早く目的に合うもの、合わないものを判断することができます。」(村田氏)

 コンピュータにすべてを任せるのではなく、人間の認識能力を拡張することでスピーディーな検索を実現するというのが、同サイトの画像検索のもう1つのコンセプトとなる。

 しかし、この方法にも得手不得手はある。例えば「5人の日本人が会議をしている画像」など明確なゴールがある場合には、詳細にタグ付けがされているかぎり通常のキーワードによる検索が強みを発揮する場合もある。ビジュアル・コンテクスト・サーチは目的は明確でなくとも方向性が決まっており、その中で多数の候補を俯瞰したいときに効果的と言える。データクラフト 経営企画室の鵜川久氏は「はっきりした答えを持っていないときでも、右脳的・直感的に答えを発見できる検索方式です」とビジュアル・コンテクスト・サーチのメリットを説明する。

データクラフト 経営企画室 鵜川久氏

 Viewサーチ北海道では、画像数を増加させ、3年後には100万点の画像を提供できるような体制を作っていくという。その過程でスピードや汎用性の強化を図るとのことだ。

 同サイトは2月15日にサーバ回線の容量を増加し、画像の表示速度と操作性をアップさせたほか、登録した出発地点から撮影地までのルートの検索にも対応した。

 「ビジュアル・コンテクスト・サーチは言語に依存しないシステムなので、日本語以外の環境での使用にも容易に対応できます。これからはグローバルな展開も視野に入れています。」と鵜川氏は今後に向けた展望を語った。

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