このように、データセンターのファシリティで最初に解決すべき課題は、電源容量である。データセンター全体の消費電力量が抑えられれば、それだけCO2を削減できることになり、グリーンITの実現に近づくだけでなく、電力消費に伴うコストも削減できる。
では、実際にどんな対応を行うべきなのだろうか。まずは、電力を最終的に消費するサーバコンピュータやストレージのハードウェアなどを低消費電力タイプに置き換えていくことが挙げられる。置き換えは、機器のリースアップ時といったリプレースのタイミングを見計らって自然に進んでいくとは思われるが、すでに固定化された業務システムのようなリプレースを考慮していないサーバコンピュータがある場合であっても、置き換えを検討すべきだろう。
なぜならば、わずか2〜3年ほど前のサーバコンピュータと最新のサーバコンピュータを比べてみると、消費電力あたりの性能比が数倍も違うからだ。例えば、インテルのXeonプロセッサを搭載しているサーバコンピュータの場合、1世代前のシングルコアプロセッサに対し、現在のクアッドコアプロセッサは、2.5〜3倍以上の消費電力あたりの性能比になるという。
最新のハードウェアに置き換える意義はまだある。サーバコンピュータならば、業務システムを拡張する必要性に迫られていなくても、最新のサーバコンピュータに置き換えるだけで複数の既存サーバを統合できるだけの余力がある。業務アプリケーションの環境をできる限り変更したくないというのなら、技術が確立されつつある仮想化を利用する手もある。現在は、プロセッサがハードウェア的に仮想化をサポートしているほか、仮想化ソフトウェアの安定性や信頼性も実用レベルに到達している。つまり、仮想化を利用して大量のサーバコンピュータを少数に絞り込むことで、データセンター全体の消費電力を削減できるというわけだ。
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