MSは密かに「メインフレーム復活」のシナリオに備えているのか?(1/2 ページ)

アナリストのロブ・ヘルム氏によると、Microsoftによる最近のCalista TechnologiesとKidaroの買収は、同社がメインフレーム復活に備えている可能性があることを示しているという。

» 2008年03月17日 14時00分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは、メインフレームが復活し、集中管理されたデスクトップ上でのマルチユーザーコンピューティングをサポートするという新しいコンピューティングシナリオに密かに備えているのだろうか。

 Directions on Microsoftのアナリスト、ロブ・ヘルム氏はそう考えており、Microsoftが最近買収したCalista TechnologiesとKidaroは、集中管理されたデスクトップ上でマルチユーザーコンピューティングを実現する技術を提供する企業だ。

 ヘルム氏の指摘は、Reutersの3月13日付けの記事で、Microsoftの最高研究戦略責任者であるクレイグ・マンディー氏がIT分野における次の大きな変革は並列コンピューティングであると語ったと報じられたことに言及したもの。

 しかしヘルム氏によると、個別の並列アプリケーションは並列プロセッサを活用するのに適した方法ではないようだ。並列処理を活用するための優れた手段とは、「未来に戻り」、基本的に複数のユーザーでコンピュータを共有することだという。

 「メインフレームの復活はPC市場の終焉につながる可能性があるため、MicrosoftとIntelはこの話題を表立って取り上げようとはしないだろうが、少なくともMicrosoftは、密かにその可能性に備えているのではないかと思う」とヘルム氏はeWEEKの取材で語った。

 Microsoftにとって将来のもう1つの大きな成長分野であり、同社がYahoo!買収を狙う理由の1つでもあるオンラインサービスも、本質的にマルチユーザーシステムである。こういったサービスは、並列コンピューティングの進歩の恩恵に浴することができる。「もちろんGoogleも、そういった目算の上に立って自社のビジネスを構築してきた」とヘルム氏は指摘する。

 マンディー氏だけでなく、Hewlett-PackardとCisco Systemsも、並列処理がデータセンターの大きな推進力になるとの見解を表明している。

 この並列コンピューティングシナリオでは新しいプログラミング言語が必要になり、ほとんどあらゆるソフトウェアの開発手法が影響を受ける可能性がある。「これは大変なことだ」とマンディー氏は語る。同氏はMicrosoftに入社する前には、スーパーコンピュータ企業のAlliant Computer Systemsで経営責任者として並列コンピューティングの開発に携わった経験がある。「このチャレンジは向こう5〜10年間にわたって重くのしかかるだろう」と同氏はReutersの取材で語っている。

 しかしヘルム氏によると、並列処理の活用はプログラマーに根本的な発想の転換を要求するが、彼らが現在持っているツールと言語がその要求に対応できるとは思えないという。

 「最新のツールや言語でも十分とはいえない。研究者たちは何年も前から、研究室で並列コンピューティングをサポートする新しいプログラミング技術の実験を行っているが、その中でメインストリームへの進出を果たしたものは皆無に近い」とヘルム氏は語る。

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