Webサイト改ざん攻撃の舞台裏、再び活発化の動きも(1/2 ページ)

世界的に猛威を振ったSQLインジェクション攻撃が、再び活発化の動きを見せている。「2007年からこの予兆があった」とラックは分析する。

» 2008年03月27日 16時13分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 Webサイトやデータベースの改ざんなどを可能にするSQLインジェクションの大規模な攻撃が3月11日発生した。セキュリティベンダーのラックは3月27日、この大規模攻撃に関する同社の分析結果を発表すると同時に、「攻撃再開の気配を見せている」と注意を呼びかけた。

 この攻撃は脆弱性を持つWebサイトに不正侵入して、サイト訪問者をマルウェアサイト感染へ誘導する細工を仕掛けるもの。改ざんされたWebサイトを閲覧するとマルウェアサイトに誘導され、不正なプログラムをダウンロードしたり、PC内の情報を盗み出したりするマルウェアに感染する恐れがある。

SQLインジェクション攻撃からマルウェア感染までの仕組み

 同社は3月11日深夜から、通常の70〜100倍にも上るSQLインジェクションの攻撃が観測されたとして注意喚起を発表した。国内の一般企業の一部では、この攻撃が原因とみられる不正改ざんが発見されている。

個人も標的に

 ラックによれば、SQLインジェクションを利用する攻撃は2004年に初めて確認された。同社のセキュリティ監視センターJSOCが検知したSQLインジェクションは、2007年1月頃から急増している。チーフエバンジェリストの川口洋氏は、「大半の攻撃はサーバ内の情報を盗むことが目的だが、2007年以降は一般利用者のPC内の情報も狙いだした。今回の攻撃は、これが顕著に起きたケースだろう」と説明する。

 川口氏によれば、今回の大規模攻撃となる予兆が2007年11月〜12月に確認された。攻撃元とみられるIPアドレス「125.46.105.224」は中国でホスティングされており、誘導先のマルウェア感染サイトのドメインは11月と12月では異なっていた。また、IPS/IDS(不正侵入検知/防止装置)では検出できないケースも見つかったという。

改ざん時に挿入される、マルウェア感染サイトに誘導するスクリプト(編注:赤字のURLを閲覧しないようにしてください)

 さらに、今年3月2日〜8日には2007年に観測されたIPアドレスによる小規模な攻撃を検知した。そして、3月11日深夜(日本時間)からまったく異なるIPアドレスで大規模攻撃が発生した。JSOCでは12日正午ごろに攻撃元のWebサイトが停止したことを確認し、一応の小康状態をみせたという。

 3月11日からの攻撃では、改ざんされたWebサイトを閲覧すると、「www.2117966.net(編注:再開されたもようであり、閲覧しないようにしてください)」に接続され、「fuckjp.js」もしくは「fuckjp0.js」という不正ファイルがダウンロードされる仕組みになっていた。「確認できたのこの2種類だけだが、さらに多くの種類が存在するとみられ、引き続き警戒している」(川口氏)

 閲覧者のPCに不正ファイルがダウンロードされた後も、さらに無数のマルウェアがダウンロードされるようになっている。この感染経由は無数に存在し、すべての経路を完全に特定するのはほぼ不可能だという。

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