Dell、デスクトップのジレンマと向き合う(2/2 ページ)

» 2008年04月02日 15時52分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 デスクトップPCは現在も、Dellのビジネスの要である。同社の2008会計年度におけるデスクトップPC販売収入は、同2006年度の210億ドル以上という数字からは9%下落しているものの、190億ドルを超えた。ノートPCの販売収入も18%増加している。

 Dellが3月31日に米証券取引委員会へ提出した年次報告書には、「近い将来、携帯性の高い製品に対するユーザーの需要が高まり、結果的にデスクトップPCの需要は小さくなるだろう。携帯PCとデスクトップPCの成長率には、およそ6対1の差がつくと予想される」と記されていた。

 Endpoint Technologies Associatesのアナリスト、ロジャー・ケイ氏は、ラップトップやほかのモバイルデバイスに飛びついた他社と比べ、Dellは古いデスクトップモデルに見切りを付けるのが遅かったと述べている。

 「他ベンダーとは異なり、Dellはデスクトップ(本体)の製造を続行した。あまりうまくいっていないように見えたし、実際のところデスクトップの製造数は減少し、価格も落ちるばかりだった(中略)が、Dellは1つの企業方針として、ノートブック市場への早期参入を実行しなかった」(ケイ氏)

 Dellの最高経営責任者(CEO)であるマイケル・デル氏はこうした流れを変えようともくろんでおり、今後3年の間に携帯マシンへの投資を強化していくつもりだと語っている。2007年には、フラッシュメモリドライブ(SSD)などの機能をラップトップに追加したり、タブレットPCおよび耐久型(ラグド)PCといった、利益を生むと思われるニッチ市場の開拓を試みたりした。

Dellの不調と不景気

 これと並行して、Dellは30億ドル相当の経費削減を実施し、9000人近い従業員の解雇も検討している。このうち約10%が、オースティンの施設閉鎖に伴うレイオフとなる。

 また、コストを節約するために海外投資の増強も考えているという。

 中国の企業からは数十億ドル分のパーツを購入する予定で、ポーランドに新設する製造施設にも多額の予算を投じている。これらはすべて、Dellのコア市場である米国の経済不安が招いた結果だ。

 Pund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏は、「企業などのIT支出が大幅に削られている今、Dellにとって経費削減は至上命題だ」と指摘した。

 一方、American Technology Researchのアナリストであるショーン・ウー氏は、4月1日付けの研究報告書に、経費削減やノートブックへの移行に成功したとしても、DellはHPやApple、LenovoやAcerなど多数のライバルとPC分野で戦っていかねばならないと書いている。

 「マクロ経済が不況にあえぐ中でこうした競争に勝ち抜くのは、並大抵のことではないだろう」(ウー氏)

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