1000speakers:4の懇親会に思う

発表経験の少ない人に「自分の技術をさらけだす場」を提供することを目的とした「1000人スピーカカンファレンス」。先週、第4回目が開催されたが、今回の参加者で最高齢者だったという力武氏の目にはこのイベントはどう映ったのだろうか。

» 2008年04月28日 14時08分 公開
[ITmedia]

 4月26日に開催された「1000人スピーカカンファレンス」。発表経験の少ない人に「自分の技術をさらけだす場」を提供することを目的としたこのイベントだが、回を重ねるごとにその知名度も上がり、さまざまなジャンルからの参加者がみられるようになったことで、開発者が刺激し合うイベントへと成長しつつある。

 第4回目の開催となった今回は、ネットワークセキュリティの研究者である力武健次氏も参加、Erlangについてのライトトークを行っている(発表資料はこちら:PDF)。イベント終了後、力武氏は自身のブログで今回のカンファレンスについてエントリを残している。以下では、クリエイティブ・コモンズでライセンスされている力武氏のエントリを紹介しよう。今回の参加者の中で最高齢者だったという力武氏。彼の目には1000人スピーカカンファレンスはどう映ったのだろうか。


 id:amachangは写真よりも実物の方がずっと男前で立派な好青年だった。まだまだ勉強できる人なので、もっとガリガリ勉強していってほしい。

 id:nishiohirokazuは、知性派でおっとりした、しかし正確な日本語をしゃべる好青年だった。知識が経験と結びつけば、もっと大きくなれると思う。

 次回の1000speakers:5の基調講演をする方ですが、すごく面白い人で、母語でなくても日本語も完璧、さらに英語、仏語、ケベ語まで完璧という方です。行く人は期待していいんじゃないかな。

 ほかにも、すごい人たちがいっぱいいて、タメになった。参加して本当によかったと思う。

 以下は、いろいろな人たちに口頭で伝えたことの要約。

 20年前、1988年ごろに、自分もPRUG(Packet Radio User's Group)の人たち、先たちと遊びまくり、ハックしまくり、飲みまくっていたことを思い出した。PRUGは「やりたい奴がやりたいことをやる」集団で、/16のアドレスを取って皆で無線と有線に使ったり、TNC(アマチュア無線でのパケット通信用モデム)を作ったり改造したり、ソースのなかったころのUNIXで遊びまくったり、ずいぶん無茶をやっていた。でも、PRUGからは、多くのネットワーク屋が育って、スーツになったり、ギークになったりしている。

 昨日見たのはまさにあの風景そのものだった。エネルギーのある個人が集まると、面白いことができるんだなあ、と思った。ただ、当時とは違って、酒量が減って、タバコの量も減って、その分皆話をしているという、現代風の気質が見えた。そのことは時代の変化だからいいんじゃないかと思う。女性の参加者の方々もいたし、これも時代の変化だと思う。サーバとかで遊べないという若者からの悩みも聞いた。これは今の社会制度が不自由なせいだ。何とかしなければならない。今には今の課題があることも痛感した。

 でも、懇親会の中で自分が最高齢者だと知ったときは、ちょっとだけがっくりきた。そして、自分のなすべきことを、帰りの電車の中や、夢の中で真剣に考えざるを得なかった。

 Disるなんて言葉が一般化しているとおり、ハッカーの世界はhip-hop cultureと、実は相通じるものがあると思う。常に権威を疑い反抗し、実際に成果の出ているものだけをリアルとみなし、見かけだけのwhack MCは容赦なくたたかれる。わたしはB-Boyの世界にいたことはないから、その世界の論評はできない。でも、MCやDJが作品で表現している世界は、まさにハッカーの現場主義そのものだ。

 強い心と考えと思いを、コードと実装、現実で証明する。この実装主義。それこそがハッカーの世界の美学なのだろうと思う。

 自分はそこまで強くなれているだろうか。自分にうそをついていないだろうか。そんなことを、グルグルと考えていた。

 もちろん結論は出ない。

 でも、ここ10年ぐらい自分の中で分離していたものが、統合されて新しい力にできるような予感がしている。予感を現実に変えるのは、自分次第だけど。

 最後に、参加者とオーガナイザーに、あらためてmy big respect。

原著作者:力武健次


Creative Commons License
この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ