Googleを辞める理由とは「頭脳流出」の実際(2/3 ページ)

» 2008年05月17日 00時00分 公開
[Deb Pelerman,eWEEK]
eWEEK

 これに加え、洗濯をしてやったり、食事をおごってやったり、椅子の代わりにバランスボールに座らせたりと、Googleが社員を子供のように扱っている点を問題視する者もいる。子供といえども、いつかは大人になりたいと願うものなのだ。

 「Raw Thought」ブログを運営しているアーロン・スワーツ氏も、「Googleは大学を卒業したばかりのプログラマーを雇い、学生生活と変わらない待遇を約束している。募集要項も強調している通り、同社の職場環境は明らかに大学を模して作ったものだ(中略)。だが、Googleという企業の新鮮さが薄れたところで見直してみると、社員がこんな場所で長く働きたくないと考えるのも無理はないと思える」と述べている。

 また、最近の株をめぐるトラブルや、IPO(新規株式公開)前後で社員の資産に大きな格差が生まれたことも原因となっている可能性がある。同社の株価は2007年11月に史上最高値を付けたが、その5カ月後の2008年3月には落ち込みを見せた。第1四半期は業績もよく、株価は多少回復したものの、2004年のIPO後に入社した社員を十分潤す水準には至っていない。

 地球上でいちばん楽しい会社であっても、ほかのすべての企業と同様に、社員は個人スペースの内側から日々世界を変革しているわけではなく、最有力製品に細かな変更を加える作業を黙々と実行しているのだと、大半のアナリストや評論家は口をそろえる。

 管理職リクルート企業Trilogy Searchのプリンシパル兼マネージングディレクター、チャック・パパラード氏は、eWEEKに対し次のように語った。「会社が大きな成功を収め、自由奔放だった企業文化が組織色を強めるようになると、さまざまなことが変わってくる。当初から社内娯楽を充実させ、既にそれに成功させていた企業がそうした状態になった場合、楽しみの要素が空回りすることがままある。その時点で、一部の社員は企業から離れていくのだ」(パパラード氏)

 辛辣な物言いで知られる批評家のフェイク・スティーブ・ジョブズ氏によれば、退職が続いているのはGoogleの自業自得だという。娯楽をふんだんに提供し、オンライン広告をより効率的に売るような日常業務を厭う企業風土を築いてきたため、スタンフォードやMIT(マサチューセッツ工科大学)の卒業生は現状に失望を抱いていると、同氏は指摘した。

 「(Googleは)知能指数のきわめて高い若者を雇用することを重視している。そうした若者は確かに非常に頭がよいのだが、“AdWords”や“AdSense”にかかわるおそろしく退屈で冗長な作業にはまったくなじめない。現在の彼らは、何か意味のある仕事をして生きていきたいと強く考えているのに、働きバチ――“勝ち組”のハチではあるが――に甘んじている現状に飽き飽きし、ひどく落胆しているのである」(フェイク・スティーブ・ジョブズ氏)

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