MicrosoftとYahoo!の間で再び交渉が始まったようだが、わたしにとって関心があるのは、両社の提携が開発者にとって何を意味するのかということだ。
MicrosoftによるYahoo!の全面的買収の可能性は消えたようだが、両社は依然として何らかの「取引」について話し合っている。これは検索に関連した取引ではないかと言う人もいる。おそらくそうだろう。しかしそれが何であれ、開発者にとって恩恵になるものであることをわたしは願っている。そうでなければ困るのだ。
両社が協力できる分野は幾つかある(そのすべてが必ずしも関連しているわけではないが)。例えば、PHPなどの動的言語の利用、オープンなAPI、Webサービスの開発などである。
これは必ずしも、Microsoftが突然、PHPやLAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP/Perl/Python)の素晴らしさを認識するようになるという意味ではない(とはいえ、MicrosoftはCodePlexコミュニティーサイト上で自社のPHTとPythonの取り組みをホストしている)。
しかしREST(Representational State Transfer)形式のAPIとオープン主義がYahoo!の身上であり、これはMicrosoftがメリットを得られる部分でもある。もちろんMicrosoft自身も「Live Mesh」戦略など自社の多くの取り組みでREST形式のAPIを採用している。
一方、4月24日にサンフランシスコで開かれた「Web 2.0」カンファレンスにおいて、Yahoo!のアリ・バローCTO(最高技術責任者)は「かつてない方法でYahoo!のすべての資産を文字通り開発者に開放する開発プラットフォームを作成するために、Yahoo!の全面的な書き直しを行っている」と述べた。
また、バロー氏はカンファレンスでのキーノートの中で、「SearchMonkey」のβ版を発表した。これは、開発者がYahoo!の検索エンジンを中心としてカスタマイズしたマッシュアップを作成することができる環境である。
「Yahoo Open Strategyの目的は、Yahoo!のすべての資産を開放することである」とバロー氏は語った。
さらにバロー氏によると、同社の新たなオープン戦略には「Yahoo!をさらにソーシャル化する」という狙いもあるという。「われわれはもう1つのソーシャルネットワークを作ろうとしているのではない。われわれはソーシャル化を目的と考えてはいない。1つの次元と考えているのだ」
「Yahoo!はAPIを一貫した形でオープン化する考えであり、これにより一貫性のあるビュー、開発環境、配備環境を提供する」とバロー氏は述べた。
願わくば、今後、Microsoft開発者とYahoo!開発者の相互に恩恵をもたらす機会が生まれるといいのだが。
ZapThinkのアナリスト、ジェイソン・ブルームバーグ氏は、「.NET開発者の立場から見れば、MicrosoftとYahoo!の取引は、Yahoo!のWeb 2.0指向の開発ツールをより広範な.NET/Windows環境に連携するための新たなチャンスであるとともに、この連携によるMicrosoftプラットフォーム上の既存機能との数々の相乗効果を約束するものだ」と語る。
「しかしより広範なWeb 2.0の観点から見れば、MicrosoftがYahoo!のツールを吸収同化し、非Microsoft環境への適用可能性を消滅させる恐れがある」とブルームバーグ氏は指摘する。「言い換えれば、これは昔からの戦争における新たなバトルなのだ」
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