ガートナージャパンがBIを動かす組織とBIの今後の形に関して提唱する講演を行った。
ガートナー ジャパンは5月27日から2日間、ビジネスインテリジェンス(BI)について紹介するイベント「ビジネス・インテリジェンス&情報活用サミット2008」を開催した。
ガートナーが世界のCIOに「優先するテクノロジー」について聞いた調査から、3年連続で「BIを最優先とする」という結果が出ている。日本のCIOを対象にした同じ調査で、BIの優先順位は3位だった。昨年は9位だったことから、日本でもBIの重要性が認知され始めていることが分かる。
講演でGartner Researchのバイスプレジデント兼最上級アナリストのドナルド・ファインバーグ氏は、8割の企業でBIの決定権をIT部門が握っている現状に異議を唱えた。同氏は「IT部門は業務部門と協力関係を結べなければ消滅する。ビジネス側と仕事ができなければCIOは職を失うだろう」と繰り返し話す。BI導入の決定権は業務部門に握らせて、IT部門はあくまでも助言などを含めた導入サポートに徹するべきと強調した。
ファインバーグ氏によると、一般にIT部門と業務部門は連携に失敗しているのが実情という。解決策としてガートナーは、BIに必要なスキルを持つ人を集めた組織「BIコンピテンシ・センター(BICC)」の設立を提唱している。
ここでBIに必要なスキルとは、ビジネススキル、分析スキル、ITスキルの3つ。ガートナーの調査結果によると、BI導入企業の3割がBICCを設置しているという。個人ですべてを賄うのは困難なため、各スキルを持つ人を集めた組織を作ることで全体最適を図る考えだ。
BIは今後、ソフトウェア単独というよりは、検索技術、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)といった先進技術とBIとの連携が必要になるという。ファインバーグ氏は「2012年までには85%のアプリケーションがBIと双方向性を持つようになる」と話している。
講演したガートナーリサーチのバイスプレジデント、堀内秀明氏は「BIと検索技術が融合すると、検索と分析という2つの情報活用が可能になる」と話す。BIで利用する情報を色や形を工夫して視覚的に見やすくすることもできるという。
国内のBI市場は日本IBM、マイクロソフト、日本オラクル、SAPといった大手ベンダーが台頭している。しかし、BI機能を持つソフトウェアベンダーはほかにも存在し、それぞれに特徴がある。「例えばGoogleがBIを始めるとしたら、さまざまなデータを持っていて、BIと検索を組み合わせた新しいシステムができるだろう」と堀内氏は指摘する。大手ベンダーだけでなく独立系のベンダーが生み出す新たなシステムが、将来のBIを変えていく可能性について示唆した。
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