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» 2008年06月17日 00時57分 公開

計る測る量るスペック調査隊:UTPケーブルの限界に挑戦せよ (2/3)

[ITmedia]

ケーブル特性を調べる

 さて、スプリットペア配線のケーブルは、CableIQのテストでは10/100/1000BASE-Tのすべてで「不良」と診断されてしまったが、実際には100BASE-TXならば問題なく通信できているように見えた。そこで、ケーブルの特性を測定する機器であるフルーク・ネットワークスのケーブルアナライザ「DTX-1800」を使用して、スプリットペア配線ケーブルの特性を調べてみよう。

 DTX-1800は配線がISOやJIS、TIAといった規格に適合しているかを調査できる測定機器だ。DTX-1800の最大測定周波数は900MHzで、将来的に登場が予定されているカテゴリ7のUTPケーブルにも対応できる。また、UTPケーブルや同軸ケーブルだけでなく、ファイバケーブルの性能までも測定可能だ。ケーブルのさまざまなパラメータを測定し、そのケーブルが規格に適合しているのかを短時間でリポーティングする機能も備えた、プロユースのテスターである。

 ケーブルのパラメータにはさまざまなものがあるが、今回は比較的分かりやすい、次の3つに注目してみよう。

  • 減衰量

 減衰量とは、ある周波数の信号がケーブルの近端から遠端まで到達するまでに、どのくらい信号が減衰したかを表すパラメータだ。信号の減衰自体は直接的には信号伝達に影響を与えないものの、減衰量が多いと相対的にノイズの影響を受けやすくなるため、減衰は少ない方が好ましい。

  • NEXT

 NEXTは「Near End Cross Talk」の略で、ある信号線が発するノイズが、ほかの信号線にどの程度影響を及ぼしているかを表すパラメータだ。NEXTの値が小さい場合、ペア間で信号の干渉が発生し、信号にノイズが混入しやすくなってしまう。

  • ACR

 ACRは「Attenuation Crosstalk Ratio」の略で、減衰量とNEXTの比で算出される、ノイズの信号への影響を表すパラメータである。減衰量やNEXTはそれ単体でケーブルの特性を表している値であるが、例えばNEXTの値が大きい場合でも、減衰量の値が小さければ相対的にノイズの信号への影響は小さくなる。このような、相対的なノイズ耐性を表したものがACRである。

信号の減衰量を調べる

 まず、減衰量から見てみよう。下の図で、左が正しく配線を行ったケーブルの減衰曲線、右がスプリットペア配線ケーブルの減衰曲線だ。それぞれ横軸が周波数、縦軸が減衰量を表しており、中央付近のなだらかな曲線が規格値である。正しく配線を行ったケーブルでは減衰量が規格値よりも大幅に小さいのに対し、スプリットペア配線ケーブルでは4-5ペアと3-6ペア、つまりより合わされていないペアのケーブルについて、周波数が高くなるにつれて減衰量が大きくなり、100MHz付近で規格値をオーバーしている。

正常なケーブルの減衰曲線(左)とスプリットペア配線ケーブルの減衰曲線(右)

クロストークの影響を調べる

 同様に、下の図で左が正常なケーブルのNEXT曲線、右がスプリットペア配線ケーブルのNEXT曲線である。減衰量のグラフと同じく、中央付近のなだらかな曲線が規格値、波打っている曲線が測定値である。スプリットペア配線ケーブルのNEXT曲線のグラフでは、3-6ペアと4-5ペア間の干渉が基準値よりも下回っている。つまり、より合わされていないペアを流れる信号がお互いに干渉し合ってノイズを発生させていることが分かる。

正常なケーブルのNEXT曲線(左)とスプリットペア配線ケーブルのNEXT曲線(右)

ACRで総合的な信号特性を見る

 最後に、ACRのグラフを見てみよう。左が正常なケーブルのACR曲線、右がスプリットペア配線ケーブルのACR曲線である。これらのグラフからも、3-6ペアと4-5ペアはノイズの影響を受けやすくなっていることが分かる。

正常なケーブルのACR曲線(左)とスプリットペア配線ケーブルのACR曲線(右)

 さて、はじめに述べたとおり10/100BASE-TXでは1-2ペアと3-6ペアのみを通信に使用し、4-5ペアと7-8ペアは使用しない。そのため、3-6ペアと4-5ペア間に干渉が発生しても、実質的には問題は発生せず、正しく通信が行える。

 一方で、1000BASE-Tではすべてのペアを通信に使用する。従って、3-6ペアと4-5ペアに信号が同時に流れると、お互いに干渉を起こし通信エラーが発生する。そのため、この例では1000BASE-Tでの通信が不可能だったのである。

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