NokiaがSymbianを買収――Apple、Microsoft、RIMへの対抗を狙う(1/2 ページ)

NokiaはSymbianの残りの株式を買い取ることにより、AppleやMicrosoftなどのプロプライエタリベンダーおよびAndroidやLiMoなどのオープンソース技術の両方に対抗できるポジションを確保する。

» 2008年06月26日 16時12分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Nokiaは、携帯電話用ソフトウェアのパワーバランスをプロプライエタリからオープンソースへとシフトしたようだ。同社はOSソフトウェア企業Symbianの残りの株式を買い取り、Symbianの技術をオープンソースライセンスの下で提供する。

 今回の動きは、Nokiaがまだ保有していないSymbianの48%の株式を4億1000万ドルで買い取り、Symbian Foundationを新しいオープンソース組織として立ち上げ、同組織を通じてOSを提供するというもの。Nokiaはこれにより、プロプライエタリベンダーとオープンソースベンダーの両方面からの攻勢に対抗して生き残りを賭ける。

 フィンランドに本社を置く携帯電話メーカーのNokiaは、全世界の携帯電話の40%を供給しており、今すぐその地位が脅かされるというわけではない。

 しかしグローバルな携帯電話市場を支配するNokiaだが、北米市場を見れば、AppleのiPhone、ねばり強いMicrosoft Windows Mobileプラットフォーム、Research In MotionのBlackBerryデバイスと比べると、まだ大きな影響力を及ぼすには至っていない。

 北米が次の戦場になるのだろうか。Nokiaの行動を見れば、同社はそう考えているようだ。あるいは少なくとも、これらの競合各社が欧州市場とグローバル市場にまで触手を伸ばすのを阻止する一方で、GoogleのAndroidやオープンソース組織のLiMo Foundationが提供するオープンソースプラットフォームに歩調を合わせるつもりだ。

 The 451 Groupのトニー・リゾー氏は6月24日付の調査メモで、「Nokiaは北米でSymbianの携帯電話OSの開発で利益を上げることができず、また、現在Nokiaが支配している世界の多数の地域にいずれオープンソースモデルが進出するという可能性に賭けることもできないでいた」と述べている。

 Nokiaは「2つの悪のうちでもまだましな方」ということでオープンソース陣営に加わることにしたのだろう。

 しかしモバイルオープンソースの分野はまだ若く、激しく分断化している状態だ。Androidプロジェクトは、ユーザーが利用できる実際の携帯電話をまだ生み出していない。LiMoとAndroidを支持するOpen Handset Allianceは、互いに警戒心を抱いて睨み合っている。

 この分野は不透明な部分がまだ多く、Nokiaが加わればさらに分断化が進むことになりそうだ。

 しかしNokiaがオープンソース側に入ることで、Apple、RIM、Microsoftに対抗するオープンソース陣営の勢力が拡大する可能性がある。

 リゾー氏もこの見方を支持している。「全体として分断化している幾つかのグループからオープンソースをめぐる議論を取り除き、それをオープンソースモデルおよび堅牢なOSに基づく議論に置き換えることにより、(Symbian Foundationというよりも)NokiaはモバイルOSのグローバルな勢力地図を塗り替えるだろう。これは将来的に、北米市場でのNokiaの勢力拡大につながる可能性もある」(同氏)

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